JIROの独断的日記 DiaryINDEX|past|will
◆記事1:<日銀>景気判断の上方修正を検討(5月15日18時50分配信 毎日新聞) 日銀は15日、景気の現状判断について、従来の「大幅に悪化している」との表現を上方修正する検討に入った。 ◆記事2:街角景気、4カ月連続改善=「悪化に歯止め」と判断−内閣府(5月13日17時0分配信 時事通信) 内閣府は13日、4月の景気ウオッチャー調査を発表した。 ◆コメント:「大本営発表」のオンパレードですね。 今週発表水曜、内閣府が「4月の景気ウォッチャー調査結果」を発表しました。 4月の現状判断DIは、前月比5.8ポイント上昇の34.2となり、4ヶ月連続で上昇した。 と書かれています。どの新聞もテレビも、内閣府の発表をそのまま、強調していたのが気になりました。 景気ウォッチャー調査は、内閣府統計局が全国の様々な業種の一般人に、今月の景気は良いと思うか? 3ヶ月前と比べて良くなっていると思うか?というアンケートをとって、指数化するのです。 選択肢は、「良い」「やや良い」「変わらない」「やや悪い」「悪い」の中から選ぶのです。 調査結果(PDF形式)の8ページ「図表2」(構成比)を見ると、実情が分かります。
です。DI(ディフュージョン・インデックス)は34.2で3月が28.4だったから、5.8ポイント上昇した、と。 上昇した、といっても、「景気が良くなっている」「やや良くなっている」合わせても、10.7%。 「変わらない」から「悪くなっている」の合計は89.4%です。 DI(ディフュージョン・インデックス)そのものでも、景気が良いか悪いかの境目は50.0%なんです。 そして、現状判断DIは、50%を25ヶ月連続して下回っているのです。 つまり、景気はまだまだ悪いのに、その「悪さ加減」がすこし良くなった、というだけのことです。 それをもって、「景気が改善している」(とまでは、流石に政府もいいませんが)というのは、 早計です。マスコミはそういう事をちゃんと解説した欲しいと思います。 ◆日銀は4月の「展望レポート」で今年の経済成長見込みを大幅に下方修正したばかりです。 日銀は、四半期に一度、経済・物価情勢の展望、所謂「展望レポート」を発表します。 最新の「展望レポート」は4月30日に発表されたばかりで、日銀の「基本的見解」は、 わが国経済は、大幅に悪化している というもので、その大きな流れが、わずか20日間で変わるわけがありません。 記事1で、好材料として挙げられているのは「3月の鉱工業生産が6カ月ぶりに改善」したことだけです。 今週発表された、大企業の決算や、他の経済指標、企業倒産件数などを見ると、景気の悪化が緩やかになった、などと どうして言えるのか、不思議なほどです。 【企業決算】 決算を見るなら、たとえば、12日発表された電機、自動車大手の2009年3月期連結決算。 日立製作所は、税引き後利益の赤字額が過去最悪の7873億円でした。製造業全体の赤字額としても過去最大です。 NECは、税引き後赤字が2966億円となり、3年ぶりに赤字に転落しました。 日産自動車は、本業の儲けを示す(つまりクルマの販売による損益です)営業利益が、1379億円の赤字。ゴーン氏が経営者になって、 初めての営業赤字です。そりゃそうでしょう。世界中の景気が悪いのですから、クルマが売れるはずがありません。 14日にはソニーの決算発表がありました。天下のソニーも14年ぶりに営業利益が赤字になりました。営業赤字2277億円です。 今日はパナソニックの決算発表がありました。2009年3月期の純損益が3790億円の赤字です。 銀行は三井住友が赤字。みずほも赤字。来週三菱UFJの決算発表がありますが、多額の有価証券評価損を計上しなければならないので、 見る前から赤字は分かっています。 テレビ局も今までは(景気の良い頃は)放っておいても儲かる業種でしたが、ついに命運が尽きてきました。 全ての民放キー局が減益です。 ◆記事:民放キー局、全5社が大幅な営業減益 広告収入落ち込み(朝日新聞)(2009年5月15日) こんな状態を私は見たことがありません。 日本の大企業は総倒れです。任天堂は6期連続過去最高益を更新しましたが、任天堂だけ収益が上がっても、 日本経済全体の景気を浮揚させることは出来ません。 【企業倒産件数】 毎月、同じ日に二大企業調査会社の帝国データバンクと、東京商工リサーチが、それぞれの調査結果を発表します。 13日にそれがありました。 帝国データバンクによれば、 民間調査会社の帝国データバンクが13日発表した4月の企業倒産件数(負債総額1000万円以上)は 東京商工リサーチの発表も同様の傾向をしめしています。 東京商工リサーチが13日発表した09年4月の全国企業倒産状況(負債1000万円以上)によると、 倒産件数の把握方法が異なるので、件数の絶対値は両社でことなりますが、 「倒産件数が11ヶ月連続で前年を上回った」 ことに関しては一致しています。
政府(内閣府)は、日銀とは別に月例経済報告で景気判断を示します。今月はまだ先ですが、 ◆記事:景気判断、上方修正へ 5月月例報告、3年3カ月ぶり(5月15日7時57分配信 産経新聞) 政府もマスコミも完全な「ウソ」を言っているわけではないのですが、「上方修正」という言葉が、 如何にもミス・リーティングです。あまりこういう記事を読まない人は景気が良くなっているかのような印象を受けます。 上述のとおり、全然良くなっていません。 リーマン・ブラザーズが破綻した昨年9月15日以降、世界と日本の景気は、あたかも岩が崖から転がり落ちるような、 かつて経験したことのない速さで後退しました。今も転がり落ちているのです。 「上方修正」とは、その落ち方のスピードが、若干遅くなったかもしれない、ということです。 政府が大本営発表をするなら、マスコミはそのまま伝えるのではなく、現状を分かり易く説明するべきです。 まして、中央銀行たる日銀はあくまでも政府から独立して景気を判断するべきです。 来週、21日(木)から22日(金)の二日間、日銀金融政策決定会合が開かれますが、日銀は、政府の月例経済報告に迎合しては、なりません。 【読者の皆様にお願い】 是非、エンピツの投票ボタンをクリックして下さい。皆さまの投票の多さが、次の執筆の原動力になります。画面の右下にボタンがあります。よろしく御願いいたします。
2008年05月15日(木) 地震死者「推定5万人以上」=72時間経過、焦燥の色濃く−中国政府←中国政府は本気で助けだそうという気がないだろう。
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