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JIROの独断的日記
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2009年05月15日(金) 「<日銀>景気判断の上方修正を検討」←4月30日の展望レポートで今年の経済成長予想大幅下方修正したばかりなのに?

記事1:<日銀>景気判断の上方修正を検討(5月15日18時50分配信 毎日新聞)

日銀は15日、景気の現状判断について、従来の「大幅に悪化している」との表現を上方修正する検討に入った。

輸出や生産をめぐる経済指標で下げ止まりの兆しが見えてきたためで、21、22日に開催する金融政策決定会合で議論する。

上方修正すれば、ゼロ金利政策を解除した06年7月以来、2年10カ月ぶり。

日銀は1月から「景気は大幅に悪化し、先行きも当面悪化を続ける可能性が高い」との厳しい認識を示してきた。

ただ、3月の鉱工業生産が6カ月ぶりに改善するなど、昨秋以降の急激な景気の落ち込みが鈍りつつあることから、

日銀の白川方明総裁は13日の講演で「悪化は徐々に緩やかになり、年末にかけて安定する」との認識を示していた。


◆記事2:街角景気、4カ月連続改善=「悪化に歯止め」と判断−内閣府(5月13日17時0分配信 時事通信)

内閣府は13日、4月の景気ウオッチャー調査を発表した。

3カ月前と比べた街角の景況感を示す現状判断DI(指数)は前月比5.8ポイント上昇の34.2と4カ月連続で改善した。

高速道路料金引き下げなど景気対策の効果や一部企業での受注回復などが寄与した。

内閣府は総合判断を3カ月連続で上方修正し、「景気の現状は厳しいものの、このところ悪化に歯止めが掛かりつつある」とした。

現状DIは、前月(9.0ポイント上昇)に次ぐ過去3番目の上昇幅で、2008年5月(32.1)を上回る水準に戻ったが、

景気の良い悪いの境目となる50を大幅に下回っている。内閣府は「依然として極めて低水準で、底打ちしたとは判断できない」としている。


◆コメント:「大本営発表」のオンパレードですね。

今週発表水曜、内閣府が「4月の景気ウォッチャー調査結果」を発表しました。

調査結果(抜粋)の冒頭に、

4月の現状判断DIは、前月比5.8ポイント上昇の34.2となり、4ヶ月連続で上昇した。

と書かれています。どの新聞もテレビも、内閣府の発表をそのまま、強調していたのが気になりました。

景気ウォッチャー調査は、内閣府統計局が全国の様々な業種の一般人に、今月の景気は良いと思うか?

3ヶ月前と比べて良くなっていると思うか?というアンケートをとって、指数化するのです。

選択肢は、「良い」「やや良い」「変わらない」「やや悪い」「悪い」の中から選ぶのです。

調査結果(PDF形式)の8ページ「図表2」(構成比)を見ると、実情が分かります。

  • 良くなっている 0.7%

  • やや良くなっている 10.0%

  • 変わらない 38.4%

  • やや悪くなっている 27.6%

  • 悪くなっている 23.4%

です。DI(ディフュージョン・インデックス)は34.2で3月が28.4だったから、5.8ポイント上昇した、と。

上昇した、といっても、「景気が良くなっている」「やや良くなっている」合わせても、10.7%。

「変わらない」から「悪くなっている」の合計は89.4%です。

DI(ディフュージョン・インデックス)そのものでも、景気が良いか悪いかの境目は50.0%なんです

そして、現状判断DIは、50%を25ヶ月連続して下回っているのです。

つまり、景気はまだまだ悪いのに、その「悪さ加減」がすこし良くなった、というだけのことです。

それをもって、「景気が改善している」(とまでは、流石に政府もいいませんが)というのは、

早計です。マスコミはそういう事をちゃんと解説した欲しいと思います。


◆日銀は4月の「展望レポート」で今年の経済成長見込みを大幅に下方修正したばかりです。

日銀は、四半期に一度、経済・物価情勢の展望、所謂「展望レポート」を発表します。

最新の「展望レポート」は4月30日に発表されたばかりで、日銀の「基本的見解」は、
わが国経済は、大幅に悪化している

というもので、その大きな流れが、わずか20日間で変わるわけがありません。

記事1で、好材料として挙げられているのは「3月の鉱工業生産が6カ月ぶりに改善」したことだけです。

今週発表された、大企業の決算や、他の経済指標、企業倒産件数などを見ると、景気の悪化が緩やかになった、などと

どうして言えるのか、不思議なほどです。


【企業決算】

決算を見るなら、たとえば、12日発表された電機、自動車大手の2009年3月期連結決算。

日立製作所は、税引き後利益の赤字額が過去最悪の7873億円でした。製造業全体の赤字額としても過去最大です。

NECは、税引き後赤字が2966億円となり、3年ぶりに赤字に転落しました。

日産自動車は、本業の儲けを示す(つまりクルマの販売による損益です)営業利益が、1379億円の赤字。ゴーン氏が経営者になって、

初めての営業赤字です。そりゃそうでしょう。世界中の景気が悪いのですから、クルマが売れるはずがありません。


14日にはソニーの決算発表がありました。天下のソニーも14年ぶりに営業利益が赤字になりました。営業赤字2277億円です。

今日はパナソニックの決算発表がありました。2009年3月期の純損益が3790億円の赤字です。

銀行は三井住友が赤字。みずほも赤字。来週三菱UFJの決算発表がありますが、多額の有価証券評価損を計上しなければならないので、

見る前から赤字は分かっています。

テレビ局も今までは(景気の良い頃は)放っておいても儲かる業種でしたが、ついに命運が尽きてきました。

全ての民放キー局が減益です。
◆記事:民放キー局、全5社が大幅な営業減益 広告収入落ち込み(朝日新聞)(2009年5月15日)

民放キー局5社の09年3月期連結決算は、急速な企業業績の悪化による広告収入の落ち込みで4社が減収、全社が大幅な営業減益だった。

テレビ朝日は59年の開局以来、テレビ東京は04年の上場以来初の純損失。

TBSホールディングスも単体では51年の開局以来初の純損失となった。

北京五輪など大型スポーツイベントは好調だったが、番組の前後に流される「スポットCM」の5社全体の出稿量は前期比12.4%減。

「ほとんどの業種で出稿が減り、特に下期の失速が目立った」(フジ・メディア・ホールディングスの嘉納修治常務)。

10年3月期も市況回復のめどは立っておらず、全社が減収を見込む。

TBSは役員賞与の支給を2年続けて見送るほか、テレビ朝日も制作費や人件費を大幅削減する方針。

放送業の減収を補うため、放送外収入の増加に向けた取り組みも目立つ。

フジはカタログ通販大手セシールの買収を表明、通販部門の強化を図る。

日本テレビも映画製作などに力を入れ、放送外収入の割合を現在の2割台から4割程度に高めたい考えだ。

こんな状態を私は見たことがありません。

日本の大企業は総倒れです。任天堂は6期連続過去最高益を更新しましたが、任天堂だけ収益が上がっても、

日本経済全体の景気を浮揚させることは出来ません。


【企業倒産件数】

毎月、同じ日に二大企業調査会社の帝国データバンクと、東京商工リサーチが、それぞれの調査結果を発表します。

13日にそれがありました。

帝国データバンクによれば、
民間調査会社の帝国データバンクが13日発表した4月の企業倒産件数(負債総額1000万円以上)は

前年同月比15・4%増の1169件となり、11か月連続で前年を上回った。

東京商工リサーチの発表も同様の傾向をしめしています。
東京商工リサーチが13日発表した09年4月の全国企業倒産状況(負債1000万円以上)によると、

倒産件数は前年同月比9.3%増の1329件で、4月としては03年以来6年ぶりの高水準となった。

倒産件数は11カ月連続で前年を上回った。

倒産件数の把握方法が異なるので、件数の絶対値は両社でことなりますが、

「倒産件数が11ヶ月連続で前年を上回った」

ことに関しては一致しています。


◆結論:政府の大本営発表は止めて欲しい。マスコミは政府の宣伝機関になるな。日銀は独立を保って欲しい。

政府(内閣府)は、日銀とは別に月例経済報告で景気判断を示します。今月はまだ先ですが、

このような記事が有ります。

◆記事:景気判断、上方修正へ 5月月例報告、3年3カ月ぶり(5月15日7時57分配信 産経新聞)


内閣府が今月下旬に発表する5月の月例経済報告について、景気の基調判断を上方修正する方向で調整していることが14日、分かった。

上方修正すれば平成18年2月以来3年3カ月ぶり。4月までは「急速な悪化が続いており、厳しい状況にある」としていたが、

在庫調整の進展から輸出や生産が最悪期を脱しており、悪化のテンポが緩やかになっている、などの表現に改める見通しだ。

政府もマスコミも完全な「ウソ」を言っているわけではないのですが、「上方修正」という言葉が、

如何にもミス・リーティングです。あまりこういう記事を読まない人は景気が良くなっているかのような印象を受けます。

上述のとおり、全然良くなっていません。

リーマン・ブラザーズが破綻した昨年9月15日以降、世界と日本の景気は、あたかも岩が崖から転がり落ちるような、

かつて経験したことのない速さで後退しました。今も転がり落ちているのです。

「上方修正」とは、その落ち方のスピードが、若干遅くなったかもしれない、ということです。

政府が大本営発表をするなら、マスコミはそのまま伝えるのではなく、現状を分かり易く説明するべきです。

まして、中央銀行たる日銀はあくまでも政府から独立して景気を判断するべきです。

来週、21日(木)から22日(金)の二日間、日銀金融政策決定会合が開かれますが、日銀は、政府の月例経済報告に迎合しては、なりません。

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