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2009年02月24日(火) |
「人間社会はそんなに単純でない=竹中氏の理論を一蹴−与謝野財務相」←賛成。 |
◆記事:人間社会はそんなに単純でない=竹中氏の理論を一蹴−与謝野財務相(2月24日12時0分配信 時事通信)
与謝野馨財務相は24日午前の衆院財務金融委員会で、竹中平蔵元総務相が小泉政権時代、市場競争の末に富が一部に集中しても、
そのおこぼれを貧困層も享受できるとする「トリクルダウン効果」を主張していたことについて、
「人間の社会はそんな簡単なモデルで律せられない」と一蹴(いっしゅう)した。階猛(しな・たけし)氏(民主)への答弁。
◆【為参考】衆議院インターネットTVから、与謝野大臣の答弁を文字に起こしたもの。
上の記事だけだと、ちょっと与謝野大臣の発言の趣旨がよく分からないので、衆議院インターネットTVからJIROが文字に起こしました。
民主党の階猛議員の質疑の部分を含めて文字にします。
階猛:今までは何が世の中の通説だったか。特に竹中(平蔵)さんが、言われていたのは、規制緩和と小さな政府、これが論理的に正しいのだということだったが、
(与謝野)大臣も仰っていたように、規制緩和で、かつ「小さな政府」ということになると、規制緩和で競争がどんどん進んでいく。そして敗者が当然出てくる。
敗者が出たときに、小さな政府だとその人が救われない。セーフティ・ネットが弱いと救われない。これだと、大変なことになる。社会がどんどん壊れて行く。
ということで、私はこの考え方には非常に問題があると思う。
ただ、これを竹中さんがどのように説明していたかというと、「規制緩和で、かつ、小さな政府で国民負担を軽くしてゆくことで、
強者がどんどんおカネを儲けていって、その恩恵が下々にも及ぶのだ」と。「トリクルダウン」なんて言い方をしていたが、
その「トリクルダウン」によって全体に恩恵が及ぶから、このあり方で良いのだ、という言い方だった。
私は今回の金融危機の一連の動きを見ていると、全く間違いであったと。「トリクルダウン効果」はなかったと判断している。
その点について、間違いだったといことを(与謝野)大臣はお認めになるか。
与謝野:人間の社会ってのはそんな簡単なモデルで律せられないと私は思う。
現にアメリカの社会で起きていることは、フリードマンのマネタリストの流れを汲むような流れで物事が動いていない。
むしろ、流れとしては、アメリカですら「弱い人を助けよう」という、例えば今回の経済危機に関しても、そういう動きである。
市場原理主義の人が幻想のように持っていた、「物事はルールですっぱり切っていくんだ」、という考え方は、アメリカ社会にすら適用されていない。
このことは、そういうこと(トリクルダウン効果)を主張された方(注:竹中のこと)は、もう一度お考えになった方が良いのではないかと思うし、
中谷巌先生(注:経済学者。元一橋大学教授)の書かれた本はやっぱり、経済を論じるときには人間的な要素、
或いは文化的な背景というものを加味してものを考えないとダメだということを主張されている。(後略)
◆コメント:久々にまともな政治家の答弁を聞いた気がする。
何しろ、内閣総理大臣は郵政民営化に反対だったのが、賛成になったり、
前の財務相は答弁どころか、単なる酔っぱらいで、バチカン市国でもヒンシュクを買っていたそうで、
答弁以前の問題。というか、問題外だったが、今日の与謝野大臣(三つも兼務しているので、「大臣」で済ませていただく)の答弁は、
久しぶりにまともな、知的な政治家の答弁を聞いた気がするし、内容に関しても賛成である。
与謝野大臣が答弁で主張していることは、数学者の藤原正彦氏が、ベストセラーとなった著書、「国家の品格」で書いていたことと同じ方向である。
要するに、アメリカの合理主義、何でもかんでも論理、ルールで割り切るやり方を日本に当てはめようとしてもダメだ、これから大切なのは、
むしろ「情緒」なのだ、というのが藤原正彦氏の主張であった。
アメリカは、世界中をアメリカにしたがるクセがあり、アメリカ式民主主義、アメリカ式市場原理主義にすれば世の中上手くいくのだ、
といっていたが、与謝野大臣の言うとおり、アメリカが今、現実に行っている、民間銀行に公的資金を注入したり、
ローンを返済出来ない人に猶予を与える、という措置は、市場原理のルール外である。あれだけ、市場原理・自由経済と言っていた
アメリカですら、それでは世の中が回らなくなっている。
ましてや、元々、論理的というより情緒的な傾向が強い日本社会に市場原理・自由主義を持ち込んでもダメなんだ、
ということで、「トリクルダウン効果」に至っては、全然机上の空論だ、という意見であるが、それには全面的に賛成である。
今の自民党で一番まともなのは与謝野氏かもしれない(だからといって自民党が何もかも良い、と言うつもりはないが)。
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