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JIROの独断的日記
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2009年02月03日(火) 「日銀、1兆円の銀行保有株買い取り=4年半ぶり再開、金融システム安定で」←金融恐慌の瀬戸際、ぐらいの状態です。

◆記事:日銀、1兆円の銀行保有株買い取り=4年半ぶり再開、金融システム安定で(2月3日13時1分配信 時事通信)

日銀は3日午前の政策委員会で、銀行が保有する株式を最大1兆円買い取ることを決めた。

年度末に向けて金融システムの安定を確保するとともに、銀行が保有株の下落で評価損計上を余儀なくされ、

自己資本不足から企業への貸し出しに慎重になるのを防ぐ狙いがある。

日銀による銀行保有株の買い取りは約4年半ぶり。財務・金融相の認可を得て、月内に買い入れを始める見通し。

買い取りの対象先は、株式などの保有額が中核的自己資本の5割超または5000億円超の金融機関や、

自己資本比率規制の国際統一基準を採用している金融機関。大手行を含む30数行が該当するとみられる。

銀行の申し込みに応じ、格付けが「BBBマイナス」相当以上の上場株式を時価で買い取る。


◆コメント:非常に異例な日銀の決定が続いているということは、それだけ金融危機が深刻だ、ということです。

3日(月)の日中、まだ、株式その他の市場が開いている最中に日銀は、

2009年 2月 3日 日本銀行による金融機関保有株式買入れの再開について (PDF, 244KB)

を発表したのです。それで、一時は日経平均株価は前日終値比200円以上も上がりました(大引けは結局続落でした)。

要するに、日本の銀行はどの銀行も企業の株を大量に保有しています。これは銀行にとって資産なのですが、

日経平均株価の終値、というのを毎日見て頂くとわかるのですが、ずっと7,000円台とか8,000円台でしょ?

銀行が、今持っている株を買ったときは多分、最低でも日経平均は1万3000円台、多分1万5000円台だったわけです。

日経平均はあくまで平均ですが、個別銘柄を見ても大体同じ動きです。このままだと、多分、3月末の銀行の本決算時に、

銀行は、簿価と時価との差額(当然マイナスでしょう)を「評価損」というのを計上しなければならない。

それを埋め合わせるのに自己資本を取り崩すことになる。自己資本比率が低くなるのです。

それだけ、銀行の信用がなくなって、国際金融市場で資金を貸して貰えなくなる(調達が難しくなる)可能性が高い。

資金繰りが付かなくなったら、人間で言えば心肺停止状態で、アメリカのリーマンみたいに潰れるのです。東京三菱UFJだろうが、

三井住友だろうが、みずほだろうが。


それは、最悪のケースで、そこまでにはならないと思いますが、現時点で、既に概念上銀行の財務上、評価損が出ている。

実際に売った訳じゃないけど、決算では利益から差し引かなければならないことは確実なのです。

銀行だけではないけど、銀行も業績予想を下方修正してます。そうしたら、これ以上損は出来ない、と銀行は考える。

おカネを貸しても返して貰えるかどうか分からない、特に中小企業にはおカネを貸したがらない。

中小企業は銀行からおカネを借りないと、原材料が買えないとか、従業員に給料を支払えない、という状態なのです。

これ以上、銀行を不安定にしておくと、日本中バタバタと企業が潰れます。

だから、日銀が、銀行が持っている株を買い取ってやろう、そうすれば、損失が無限に大きくなる心配から、銀行は解放されます。

その分、企業に融資し易くなるだろう。と言うのが日本銀行の論理です。


ただ、銀行から買い取るときは時価(今の株価)で買い取るというのですから、

銀行は、評価損が実損として確定してしまいます。業績(利益)が減ることに変わりがない。ただ、損切りできる、

「損失確定の売り」とかニュースで良く言うでしょ。持っていたら、株価はまだ何処まで下がるか分からない。

無限に損失が膨らむ可能性があるわけです。

日銀に売れば、買ったときと比べ差損は出ますが、とりあえず、損失額は決まる。無限ではなくなる、ということです。

しかし、問題は完全には消えません。

日銀が銀行から株を買ったら、銀行は株価変動による損失リスクから大分解放されます。

その分、株を持ってしまう日銀がリスクを抱えます。会計の原理は同じですから、買った株の値段が下がれば、

日銀が含み損を抱える。あまりそれが大きくなると、日本の中央銀行たる日銀の信認に関わる。

中央銀行の信用は日本国の信用。日銀の財務体質が悪化すれば、日本全体が危ない。


日銀は12月、企業からコマーシャル・ペーパー(CP)を買取ることを決めました。

年末、企業の資金繰りが危なくなるかも知れなかったからです。詳しくは、
【経済】日銀政策決定会合に関する話の続き。日銀総裁の責任の重さ/日銀がコマーシャル・ペーパーを買い取る、ということ。

をご覧下さい。これも、結構日銀としては英断なんです。

CPを発行した会社がつぶれたら、日銀が不良債権を抱えることになる。

にも関わらず、更に、銀行が保有する株を買い取ることを決めたのです。日銀の抱えるリスクが、

一層大きくなる可能性があります(銀行が日銀に株を売ることを決めた訳ではないから、「可能性」です)。

非常にきわどい。しかし、そうでもしないと、日本経済全体の動揺がますます広がる、と判断したのでしょう。

今更言っても仕方がないけど、全ては昨年9月15日にリーマン・ブラザーズが破綻したのが、発端です。

白川日銀総裁は、今現在、日本で最も重いプレッシャーを抱えている人だといっても過言ではありません。

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