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2008年11月30日(日) |
<学生音コン>東條太河さん 小学校の部で1位…バイオリン←小学校5年生でメンコン弾くのですよ。/ハイフェッツの「メンコン」 |
◆記事:<学生音コン>東條太河さん 小学校の部で1位…バイオリン(11月30日19時34分配信 毎日新聞)
第62回全日本学生音楽コンクール全国大会シリーズ(毎日新聞社主催、横浜市共催、NHK後援、島村楽器、ANA協賛、横浜みなとみらいホール協力)4日目の30日は、
横浜みなとみらいホールでバイオリン部門が行われ、小学校の部は東條太河さん(山梨大付5年)、
中学校の部は大野有佳里さん(新潟県・上越教育大付2年)がそれぞれ1位に選ばれた。
東條さんはメンデルスゾーンのバイオリン協奏曲で和声感豊かに大器の才を示し、
大野さんはサン=サーンスのバイオリン協奏曲3番で音楽的な構成力を発揮した。
各地区大会から選ばれた小学、中学各13人が競演。久保田巧、和波孝禧ら9氏が審査した。
その他の入賞、入選は次の通り。(敬称略、入選は演奏順)
◇小学校の部
2位=池田萌華(北九州市立折尾西5年)
▽3位=高木凜々子(横浜市立奈良6年)
▽入選=郡司菜月、安藤真奈、内尾文香、中添ゆきの、福田麻子、辻彩奈、高田航輔、金田滉司、矢部咲紀子、菊野凜太郎
◇中学校の部
2位=毛利文香(横浜市立笹下2年)
▽3位=周防亮介(京都府京田辺市立田辺1年)
▽入選=福田俊一郎、奥津七海、釜衣緒良、江頭佳奈、石井智大、岸本萌乃加、谷村愛美、友滝真由、徳田真侑、坪井夏美
◆コメント:これもれっきとした「ニュース」なのですよ。
欧米の有名な新聞が必ずしも、日本の新聞よりも、正しいこと、良いことばかり書いているわけではない。
ニューヨーク・タイムズとかワシントン・ポストとか、随分偏向していると思われる記事も政治・経済面では多い。
ただ、あっちの新聞と日本の新聞で大きく違うのは、「文化面」の情報量である。
日本の新聞は、唯一毎日新聞が「毎コン」(正式には日本音楽コンクール)を主催しているから、比較的文化面が充実している。
音楽評論専門の論説委員クラスの記者がいるほどである。文化的な出来事もれっきとしたニュースである。
さて、掲載した記事だが、学生音コンとは、全日本学生音楽コンクールであり、
謂わば、毎コンのジュニア版である。小学生の部、中学生の部が中心。
高校生になると、最早、毎コンに出るからである。
学生音コンに出るような子たちは、プロを目指している子であり、そのレベルは唖然とするほどである。
◆小学生の部で優勝した東條君は5年生だが、メンデルスゾーンのヴァイオリン協奏曲を弾いたのである。
記事にあるとおり、小学生といえども、将来プロの音楽家、願わくばソリストを目指す子供の演奏は、
最早子供の演奏とは言い難い。こういうと反感を買うかも知れないが、街のピアノ教室やヴァイオリン教室の
「おさらい会」とは次元が違う。小学生の部で優勝した、東條太河さん(山梨大付5年)は、プロの演奏曲目である、
メンデルスゾーンのヴァイオリン協奏曲を弾いた。今回私は聴いていないが、大体レベルは分かる。
一般の方が聴いたら、これが小学生の演奏家か?と、一瞬ものが言えなくなるほど驚嘆するだろう。それぐらい上手い。
つまり、プロの音楽家を目指す子たちは、小学生の段階で既にテクニックは出来上がっているのである。
それでなければ、コンチェルトなど、弾けない。
しかし、それだからといって、ここで勉強を止めるわけにはいかないのであり、これから十数年、毎日、練習し、一層技術と音楽性に
磨きをかけ、それでプロになれるかどうか。それが、本当の音楽の厳しい世界である。
東條太河さんに、天賦の才があることは、明らかだが、これから更に勉強して、大輪の花を咲かせて欲しい。
それから、もう一つ。日本では、音大を卒業するまでに、非常にお金がかかる。普通のサラリーマンでは、なかなか
工面できないほどの費用(レッスン代、楽器代)がかかる。このため、本来はすごい才能を持っているのに、
その才能を開花させるチャンスに恵まれない子供が必ずいると思うのである。本場ヨーロッパでは、国や地方が楽器を貸与してくれたり、
レッスン料も極めて安価で、誰でも(完全に誰でも、とはいかないだろうが)、音楽を学ぶことが出来る。
それだけ、優れた才能を発見出来る確率が高まる。
音楽なんて、いくら聴いても、腹は膨れないが、即物的に「役に立つこと、儲かること」にのみ社会的資本を投資しない社会は、
無教養だ。政治家に音楽が分かる人がどれぐらいいるのだろう。
◆メンデルスゾーン作曲;ヴァイオリン協奏曲 ホ短調より第一楽章を、ヴァイオリンの神様、ヤシャ・ハイフェッツの演奏でどうぞ。
ハイフェッツ(1901年2月2日 - 1987年12月10日)は、100年に1人の天才と呼ばれ、誰もが認めるヴァイオリンの神様だ。
これは、もうどうしようもない、次元の違う天才である。
神様が弾いた、メンデルスゾーンのヴァイオリン協奏曲より、第一楽章をお聴きいただきたい。
なお、この曲は1楽章から終楽章まで、切れ目が無く演奏されるので、第一楽章だけ載せると、どうしても最後が、
「ブツッ」と途切れる感じになるが、ご了承いただきたい。この演奏は、チャイコフスキーとカップリングされたこのCDで、
聴くことが出来る。
ヴァイオリン協奏曲 ホ短調 第1楽章
あっさりと弾くのは、ハイフェッツの特徴だ。しかし文句の付けようがない。正に神様である。
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