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JIROの独断的日記
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2008年11月05日(水) <米大統領選>オバマ氏演説「私たちはできる」←何が?

◆記事:<米大統領選>オバマ氏演説「私たちはできる」(11月5日21時4分配信 毎日新聞)

 ◇米大統領選で当選した民主党候補、オバマ氏の演説要旨。

アメリカでは、すべてが可能であることを疑い、民主主義の力に疑問を呈する人がまだいるなら、今夜がその答えだ。

今度の選挙は違うと信じて、投票所に並んだ人々の列が答えだ。老いも若きも、共和党支持者も民主党支持者も、

黒人も白人も、同性愛者もそうでない人も、健常者も障害者も、すべてが出した答えだ。我々はアメリカ合衆国(の一員)なのだ。



長い道のりだった。だが今夜、今日の決戦を経てアメリカに変革が訪れた。

この勝利は皆さんのものだ。私は最初から大統領に最も当選しそうな候補者だったわけではない。

金もなかったが、労働者たちが5ドル、10ドル、20ドルと献金してくれた。

極寒の日もうだるような暑さの日も見知らぬ人の家のドアをたたいて回った人々のおかげで選挙運動は力を得た。

人民の、人民による、人民のための政治が滅んでいなかったと。

我々の前には大きな仕事が待っている。(イラク、アフガンの)二つの戦争、危機に直面した地球、世紀の金融危機だ。

新エネルギーを開発し、仕事を創出し、学校を建て、脅威に対処し、各国との同盟関係を修復しなければならない。

道は長く険しい。坂は急だ。だが、私は今夜ほど希望に満ちたことはない。私は約束する。我々は一つの国民として目標に到達するのだ。

挫折やつまずきもあろう。だが、私は皆さんに、常に正直であるつもりだ。

この勝利は、変革のためのきっかけでしかない。後戻りはできない。



今夜我々は、この国の真の力は武力ではなく、民主主義、自由、機会と不屈の希望に由来することを証明した。

この選挙戦では語り継ぐべき多くの物語があった。(ジョージア州)アトランタで投票した女性もその一つだ。

106歳の彼女は、かつて(女性という)性別と(黒い)肌の色の二つの理由から選挙に参加できなかった。

彼女は全米が大不況の絶望に包まれ、ニューディール政策によって恐怖を克服する国を見た。

彼女はアメリカがどれだけ変化できるか知っている。我々はできる。

我々の子どもたちが来世紀を生き、私の娘がクーパーさんのように長生きすればどんな変革を目にするのだろうか。

どんな進歩を成し遂げられるのだろうか。今がその使命に答えるチャンスだ。今が我々の時代だ。

子供たちに機会の扉を開き、豊かさを取り戻し、アメリカンドリームを唱え、基本となる真実を確かなものにする時だ。

皮肉や疑いに直面した時、「できない」と私たちに語る人がいる時、時間を超えた道理で答えるのだ。私たちはできる、と。


◆コメント:小泉よりは頭がいいだろうが、大衆心理のつかみ方は同じ。“Change”と“Yes,we can."の一点張り。

オバマ氏勝ちましたけど。手放しで喜んで大丈夫だろうか。

この人は、勿論、内政・経済・軍事・環境・外交などについて、具体的な案を提示しているが、

要するに、勝因の最大のポイントは、Change(変革)とYes,we can.(私たちはきっとできる)の一点張りを貫いたことだろう。

その点においては、2005年9月の衆院選で、小泉純一郎が「郵政民営化の是非だけを問う選挙なのです」「改革を止めてもいいのですか」を

百万遍繰り返したのと、原理的には同じである。大衆は、細かい政策(公約)より、短いフレーズ、テンポの良いオバマ氏の語感の心地よさに投票した、

と言っても過言ではない。実際には、まだ海のものとも山のものともつかぬ。


◆変革の時が来たと言われても、アメリカに都合が良い変革ばかりでは困るんだよ。

アメリカの大統領だから当たり前と言えば当たり前だが、演説の最初のパラグラフの終わり。

我々はアメリカ合衆国(の一員)なのだ。

そりゃそうなんだが、どうも、「世界で最も素晴らしい国、アメリカの一員」なのだ、というニュアンスを感じる。

アメリカは、戦争や、地球温暖化や、金融危機で世界中に迷惑をかけている、ということを自覚して貰わないと困る。


オバマ氏は、イラク戦争には最初から反対だったという。それは結構。だが、今日の勝利演説でも次の一言に注目されたい。
今夜我々は、この国の真の力は武力ではなく、民主主義、自由、機会と不屈の希望に由来することを証明した。

まだ、全然証明していない。オバマはイラク派兵に関しては、撤退方針だが、アフガニスタンに関しては、
アフガニスタンで反政府武装勢力タリバンを抑え、パキスタンとの国境からアルカイダを掃討することに一層力を入れる方針を明らかにしており、

アフガン駐留米軍を現在の3万2000人規模から増派する方針も表明。

そういう方針なのに、どうして、
この国の真の力は武力ではなく

と、言えるのか。イラク派兵はダメだが、アルカイダ掃討の為に人殺しを続けるという。何が「変革」だ。

アフガニスタンに注力するにあたり、オバマは日本にもより一層の強力を要求してくるであろう、という。

迷惑だ。


◆日本に関して、選挙運動中何も言及していない。

福井県小浜市は「おばま」市だから、「オバマ」候補を応援していたそうで、それに対してオバマが謝意を表した、というのが、

今回の大統領選で、オバマと日本を結びつけた唯一の話題だった。オバマはより中国との連携を深める意思を持っているといわれている。

今日、麻生首相が、談話を発表した。首相官邸ホームページに載っている。

オバマ米上院議員の米国大統領当選に対する内閣総理大臣の談話 平成20年11月5日


  1. 米国大統領選挙において、オバマ上院議員が当選を果たされたことに、心から祝意を表する。

  2. 世界が、多くの困難な課題に直面している中、米国が、オバマ次期大統領の優れたリーダーシップの下、国際社会と協調しながら、更に前進を遂げていくことを確信している。

  3. 日米両国は、自由・民主主義、基本的人権の尊重、市場経済の推進といった価値観を共有している。日米同盟は、日本外交の基軸であり、アジア太平洋地域の平和と安定の礎である。私は、オバマ次期大統領と力を合わせ、日米同盟を一層強化し、また、国際経済、テロ、地球環境等の国際社会全体の諸課題の解決に向け、力を尽くしていきたい。


一応、日米は同盟国だから、外交儀礼上、この程度の談話を発表しても不自然ではないが、

なんだか、アメリカと中国が仲良くなって、日本がのけ者にされるのを今から警戒しているようにも読める。


◆「変革」するなら、良い方向に変革して貰いたい。

先に書いたように、オバマ氏はとにかく、変革、変革と言い続けて大統領になったようなものだが、

アメリカに都合のよい、世界のことを考えないような変革では困る。私がすぐに思いつく「アメリカが変わって欲しいこと」を

いくつか挙げると、


  • やたらと海外へ派兵して、人を殺す国であることを止めて欲しい。

  • リーマンを破綻させて以来、世界中に金融危機が訪れている。アメリカが発端である。アメリカの経済を安定させて欲しい。

  • 世界で一番CO2を排出しているのに、環境問題でリーダーシップを採ろうとする、傲慢な態度を改めて欲しい。

  • 日本を属国と見なし、毎年、内政干渉の極み「年次改革要望書」を日本に突きつけるのを変えて(止めて)欲しい。

  • 米国空軍の戦闘機は、在日米軍基地から中東へ飛んで爆撃を加えている。これは日米安全保障条約違反である。変えて(止めて欲しい)。


当面は、金融危機を世界に波及させたことにより、世界のアメリカに対する信認は地に落ちている。

ブッシュは経済対策を策定したが、Lame・Duck化する。この後をちゃんと引き継ぐなり、よりよい方法を採用して、

米国の金融市場を安定させ、リセッション(景気後退)から早く脱して貰いたい。

オバマは演説で、
長い道のりだった。だが今夜、今日の決戦を経てアメリカに変革が訪れた。

と述べたが、それは違う。まだ何も変わっていない。変革は「訪れる」のではなく、オバマさん。

あんたが変革してくれなきゃ困るんだよ。

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