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JIROの独断的日記
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2005年11月05日(土) 鳥越氏「手術費3500円」の波紋…闘病ドラマ台無し←死ぬかもしれないガン患者に「ドラマ」とはなんだ。

◆記事:鳥越氏「手術費3500円」の波紋…闘病ドラマ台無し

 

 直腸がんにかかったことを公表し、切除手術をうけたジャーナリストの鳥越俊太郎氏(65)が4日朝、テレビ朝日系の情報番組「スーパーモーニング」に生出演した際、一般的に数十万円かかる手術費について「3500円だった」と勘違い発言。同局に問い合わせや苦情の電話が殺到する騒ぎになっていたことがわかった。

 問題の発言があったのは、特別企画「完全密着 鳥越俊太郎がん闘病記“カメラを回すんだ” 自ら被写体に…衝撃の告知から30日間全記録」でのこと。

 鳥越氏はコメンテーターを務める同番組で先月3日にがんを公表し、都内の病院に入院。6日に切除手術を受け、29日に正式退院したばかりで、この日は復帰初日だった。

 企画は公表から切除手術を受ける過程の一部始終を追ったもので、この中で鳥越氏は「手術費は3500円だった」と発言。

 これに対し、視聴者から「本当にそんなに安いのか」「いいかげんなことを言うな」などの電話がテレビ朝日に30件以上も殺到した。

 番組ではエンディングで鳥越氏が「事実を確認して、7日の放送で報告します」とコメント。放送終了後、スタッフが病院に確認したところ、治療費の請求明細書の一部にある、保険外診療分の費用「3500円」を鳥越氏が手術費の全額と勘違いしていたことがわかったという。

 病院側にも問い合わせがあり、担当者は「明細書の字が小さくて勘違いしたのか…。合計金額が記されていたので、わかるはずだが」と困惑した様子で話した。

 鳥越氏は本紙の取材に「明らかな私のミス、勘違い。7日の放送できちんと訂正しておわびします」と恐縮していた。

 がん治療に際し、「自分なりに闘う姿勢を示し、同じ境遇の人に『ああすれば治るんだ』と思ってもらえれば、私の心の支えにもなる」と話していた鳥越氏。

 企画は生死を賭けた感動的なドラマだったが、視聴者の関心の高い医療問題だけに、ジャーナリストとして“失言”は痛かった。(夕刊フジ) - 11月4日17時1分更新


◆コメント:他人の生死に関わる病気を「ドラマ(芝居)」とはなんだ。

 

 いくら夕刊フジ、天下のバカ集団、フジサンケイグループの最下層に位置するタブロイド紙とはいえ、書いて良いことと悪いことがある。

 鳥越俊太郎氏は直腸癌の手術を終えて、今日、初めてテレビに出演した。

 テレビで、世の中の出来事にコメントを加える立場にある、パブリック・スピーカーが発言に正確を期さなければならないことなど、鳥越氏は百も承知。

 それをこのような文章で叩くべきではない。

 病気は癌である。はっきり言えば、まだ、死の恐怖が去ったわけではないのだ。

 これから何年もの間、再発の恐怖と闘わなければならない。癌という病気のいやらしさはここにある。

 完全に郭清(調べた限りにおいては、「病巣と周囲のリンパ節を、転移を防ぐために切り取ってしまうこと」だと理解しています。違っていたらお医者さん、教えてください)出来たと言い切れるのは稀で、なにしろ、原病巣を切り取るときに、ガン細胞が少しでも血管やリンパ管に入ったら、血液やリンパ液の流れに乗って、全く離れた身体のどこかで、新たにガン細胞が増殖し始めるかも知れないのである。

 一度癌の手術を受けた人は、術後しばらく調子がよくても、ある時ちょっと熱が出たり、下痢をしたり、目眩がしたり、咳が止まらなくなったり、健康な人ならば気にかけないようなことでも、ドキッとする。

 貴方は「まさか・・・(再発?)」という考えが頭に浮かぶ恐怖を想像出来るだろうか。

 自分が癌になったことが無くてもそれぐらいは想像しようと努力しなければならない。


◆病気の治療費、入院費、手術費用が知りたかったら、生命保険のサイトを見るのだ。

 

 医師や病院のサイトを見ても、病気そのもの、診断、治療、予後、等についての解説はあるが、カネの話は書いてない。国立がんセンターのサイトを見ても書いてない。

 それは当然なのだ。医療費は個人差が大きいからである。

 同じ大腸癌でも進行度や、本人の生命力(回復力)、治療方法の選択の違いなどにより、当然、費用は大きく変化する。だから、うっかりしたことは医者は書けない。

 その点、保険屋はガン保険で手術給付金はいくらまで払いますよ、とパンフレットに載せなければ、誰も契約しないから、おおよその目安は書いてある。大抵、十万円単位である。

 調べなくても、少し考えれば分かる。

 歯科で抜歯しても3000円ぐらい、かかるだろう。まして、何時間にも及ぶ癌の手術費用が3,500円であるわけがない。

 鳥越氏も病み上がりで少しうっかりしていたことは否めないが、テレ朝や虎ノ門病院に電話するほうもする方だ。ネットで、「ガン、手術費」で検索すればわかることだ。


◆他人の病気をネタにして部数を稼ごうとする大衆紙の残酷さ。
 

 結論的にくりかえすなら、鳥越氏が病院の請求を確認しなかったのは、元新聞記者としては少し恥ずかしいが、なにしろ病み上がりだから、少々ぼんやりしているのは仕方がない。

 これに対して、自分でちょっと調べればおおよその見当がつく癌の手術費用を、テレ朝や病院に電話して訊く一般人も常識が無さ過ぎる。

 そして最後に、まだ、死の恐怖と闘わねばならぬ人の病気を「闘病ドラマ」と書いた夕刊フジも見識が無さ過ぎる。

 そもそも「ドラマ」とは、芝居、即ち虚構の世界を指すことばだ。

 鳥越氏の病気は芝居ではなく「真実」なのだ

 タダでさえガンになったことにより精神的ショックを受けている人間を下らないことで、叩くべきではない。


◆わたしも兄弟のガン再発の恐怖と共に生きている。

 

 お前は何故、ここまで偉そうなことをいえるのだ、と訊かれるだろうから書かせていただく。

 私は癌患者ではないが、兄弟が7年前に癌の手術を受けた。癌の発生部位まで書くと人物を特定されかねないので、ご勘弁いただきたい。

 とにかく、主治医は、「リンパに転移していた。はっきり言って予後は良くない。5年生存率40%だ」と、術後、私たち親族に言った。患者本人も知っている。

 結論だけ書くとぶっきらぼうだが、実際には大変、心の優しい先生で、非常に親身になって説明してくださった(或る医師がどの程度、本気で患者を診てくれているか、と言うことに関して、患者又はその身内は、医師が想像する以上に。殆ど直感的に分かるものだ)。

 幸い兄弟は奇跡的に術後7年を経た今も健在である。抗ガン剤との相性が良かったのだろうか。医師でも分からないだろう。

 しかしながら、、これは結果論であり、この間、私も、気が気ではなかった。これからも不安は続くだろう。

 「JIROの独断的日記」ではおかげさまで、1,100本以上の記事を書かせていただき、多くの方が読んで下さった。

 原則としてこの日記において、私は私事には触れないことにしているから、読者の方は知るよしもなくて当然だが、ずっと兄弟の病の不安が、私の頭の片隅を占めているのである。

 「生死を賭けた感動的なドラマ」などとふざけた言葉を使って欲しくない。患者に対する冒涜だ。


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