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2004年11月05日(金) |
「紳助、芸能活動自粛を延長…自ら申し出」 学生時代の復習で、「逮捕と書類送検」など |
◆記事:紳助、芸能活動自粛を延長…自ら申し出
吉本興業の人気タレント、島田紳助(48)が同社女性社員(40)を殴ってけがをさせたとして、大阪府警大淀署は4日、傷害容疑で紳助を書類送検した。吉本興業では、当初、10日間の謹慎処分としていたが、「当分の間すべての芸能活動を自粛させる」と発表。レギュラー番組8本を抱える超売れっ子だけに波紋を広げそうだ。
調べでは、紳助は10月25日午後、大阪・北区の朝日放送局内で、同局「クイズ!紳助くん」(月曜深夜11・17)の収録前に女性社員と口論になり、楽屋に引きずり込んで髪の毛をつかみ、平手で頭をたたき、頚椎(けいつい)ねんざで1週間のけがをさせた疑い。女性は診断書を大淀署に提出、10月28日に告訴していた。逮捕でなく書類送検としたのは「証拠隠滅や逃亡の恐れがないため」(同署)という。(サンケイスポーツ) - 11月5日10時51分更新
◆「犯人・被告人・被疑者」「検挙と逮捕」「逮捕・送検・書類送検」
学生時代に勉強したはずですが、だいぶ忘れているので、説明出来るように復習しました。
◆犯人・被告人・被疑者
ニュースで「犯人逮捕!」というのは、流石に少なくなったように思いますが、そういう言い方をしているマスコミが有ったら、誤りを指摘してやりましょう。
犯人とは有罪判決が確定して、初めて「犯人」になるのです。それまでは無罪の推定をします。
犯罪らしき行為があって、司法当局が疑わしい人物を取り調べるとします。
怪しい人物のことを、テレビでは「容疑者」と呼んでいますが、法律では、「被疑者」というのが正しい。
取り調べは受けているけれども、起訴されるかどうか(裁判に持ち込まれるかどうか)分からない状態の人です。
日本は起訴するかどうか、つまり裁判沙汰にするほどのことかどうか、検察が判断するのです。これを起訴便宜主義といいます。
繰り返しますが、捜査の対象となって、裁判が始まるまでは、「被疑者」です。この段階では、あくまで無罪が推定されます。
◆検挙と逮捕はどこが違うのか。
検挙の方が広い概念。大雑把に言うと、犯人らしき人物(被疑者)が分かって、捜査の対象とするのが検挙で、その中で、身柄を拘束する、つまり身体の自由を奪う手続きを「逮捕」というのです。
◆令状主義
逮捕をするためには、現行犯などの場合を除いて「逮捕状」が必要です。これは日本国憲法に、定められています。
何故なら、身体の自由は基本的人権の一つ(国民は、勝手に拘束したり監禁されない権利がある、という意味です)であり、逮捕はこれを制約する行為だからです。
これを「令状主義」といいます。国家権力の濫用を防止するための制度といえましょう。
憲法第33条(逮捕に対する保障)
何人も、現行犯として逮捕される場合を除いては、権限を有する司法官憲が発し、且つ理由となつている犯罪を明示する令状によらなければ、逮捕されない。
そして、逮捕状は誰が発行するのかというと、これは刑事訴訟法199条に定めてあって、
刑事訴訟法第199条(逮捕状による逮捕)
検察官、検察事務官又は司法警察職員は、被疑者が罪を犯したことを疑うに足りる相当な理由があるときは、裁判官のあらかじめ発する逮捕状により、これを逮捕することができる(後略)
とあります。裁判官が発行するのですね。夜中などはどうするかというと、そういう場合に備えて、当直の裁判官がいるのだそうです。
しかし、どんな事件でも、逮捕状を発行してもらえる訳ではありません。
逮捕状発行の条件=逮捕の要件は、上に書いた刑訴199条の文言にあるとおり、被疑者が罪を犯したことを疑うに足りる相当な「理由」がまず必要ですが、それだけではなく、「逮捕の必要性」、つまり、被疑者の身体を拘束しておかなければならない事情(逃亡する恐れがある、証拠隠滅の恐れがある、というのが代表的なものです。)が無ければなりません。従って、罪を犯した疑いがあって、捜査対象になっても(検挙されても)、逮捕されない、つまり留置場に入れられないケースがあるわけで、島田さんはこれに当たります。有名人ですから、逃亡なんかできませんからね。
警察のお仕事は、犯罪の捜査をして逮捕するまでで、逮捕してから後は、検察の仕事になります。検察は「刑事裁判を担当する役所」です。
警察が、被疑者の身柄と取り調べ調書などの書類、証拠物件を検察にバトンタッチすることを「送検」というのです。正確には「検察官送致」というらしいです。
◆書類送検とは身柄を拘束せず、書類だけが警察から検察官に送られること。
それで、書類送検というのは、被疑者を逮捕していない場合です。今回の事件もこれです。警察で取り調べは受けたので調書など書類はあるけれども、逮捕をしていないのだから、被疑者の身柄は送りようがない。だから、書類だけ送る。というわけです。
島田紳助氏は現在被疑者ですから、無罪が推定されます。逃亡の恐れもないので逮捕されていません。ただ、警察で取り調べを受けて、その書類が検察官の手元へ送られたよ、という状態です。
これから、検察官が書類を読んで公訴の提起(=起訴)をするかどうか判断します。起訴をされたら、被疑者は法律上は「被告人」と呼ばれます(民事訴訟では「被告」といいますが、刑事訴訟では「被告人」です)。
この段階でも、まだ、有罪の判決が確定しないかぎり、被告人は無罪の推定を受けるのです。
繰り返しになりますが、当然、島田紳助氏も例外ではない、ということをよく認識しなければなりません。
2003年11月05日(水) 民主党閣僚名簿 注目すべきなのは田中康夫ではない。榊原英資です。