JIROの独断的日記
DiaryINDEX|past|will
2003年11月05日(水) |
民主党閣僚名簿 注目すべきなのは田中康夫ではない。榊原英資です。 |
◆記事:民主党閣僚名簿
民主党が4日発表した「閣僚名簿」は次の通り。 首相 菅直人代表 ▽副総理(外交・行革担当) 小沢一郎旧自由党党首 ▽文部科学相 鳩山由紀夫前代表 ▽無任所相(国会担当、幹事長兼任) 岡田克也幹事長 ▽無任所相(地方主権担当) 田中康夫長野県知事 ▽財務相 榊原英資慶大教授 ▽国土交通相 山崎養世・元ゴールドマン・サックス投信社長(了)(時事通信)
◆所感:世間は田中康夫に注目しているが、ここで注目すべきは財務相です
公明党の神崎代表は民主党は政権の枠組みが出来ていないのに閣僚名簿を語る資格はない、といっているけれども、それは、自分だろう。宗教法人と一体不可分の公明党が政権構想を語ることこそ、違憲である。
それはともかく、民主党の閣僚名簿が発表されて、専ら話題になっているのは田中康夫長野県知事であるが、無任所相でしょ。どうでもいいんだよ。
みんな経済政策に注目しているのであれば、財務相を見なければダメでしょう?
今の小泉政権を見よ。まず、小泉氏自身が経済・金融問題は全て竹中金融相に丸投げ。何故か?分からないからである。何も指示が出せないのである。そして竹中大臣は、周知のとおり大学の先生であって、現実の政治家や役人の魑魅魍魎(ちみもうりょう)の間で四苦八苦。銀行の不良債権を減らすことだけいいつづけ、そのおかげで多くの企業がつぶれた。
民主党が財務相に名前を挙げたのは、榊原英資(さかきばらえいすけ)氏。かつての大蔵省国際金融局長(マスコミは「ミスター円」などと呼んだ)。財務官。宮沢蔵相の右腕だった。
「ミスター円」のニックネームからも想像できるように、何よりも彼を際立たせているのは、株・債券・為替などのマーケットを熟知しているということ。人脈も広い。民間銀行のディーリングルームの主だった顔は全て知っているのは言うまでもない。米国のサマーズ前財務次官とはスタンフォード大学に留学したときに、同級生だった。世界に名だたるヘッジ・ファンドの創設者で、世界のマーケットを動かすジョージ・ソロスというおっさんとも懇意である。マーケットで顔が広いというのは非常に大事なことだ。竹中氏は失礼ながら、殆ど誰も知らないだろう。
榊原氏は財務相を辞めて、慶応大学教授に納まって、「サンデープロジェクト」なんかに登場してはヘラヘラ笑いながら、日本経済の行く末について論じていた。マクロ経済に関しても、大学の先生になってからはヒマだから大分考えたでしょう。そろそろ、自説を実行に移してもらいたい。
とにかく、実務に関しては、竹中氏がペーバードライバーとよく言われているが、そのたとえでいったら、榊原氏は年季の入った、東京の道を全て知り尽くした個人タクシーのドライバーに相当するだろう。
そして、大事なことは、自分も長い間大蔵省(現・財務省)の役人だったから、大蔵役人の使い方を掌をさするがごとく、よく心得ていることである。仮に政権交代があったとして、民主党、管直人総理大臣がいきなりああせい・こうせいといっても、大蔵役人どもは、適当にやりすごして、いうことを聞かないですよ。
ところが、榊原さんが大臣になったらそうは行かない。榊原氏は大蔵役人の心理、どういう指示を出せば一生懸命にやるか。どういうところで、手を抜こうとするか、政治家、総理のどういう言動を見ているか、全て知っている。こういう人が大臣に来たらやりにくい。すなわち、サボれない。結構な事だ。
なお、念のため書いておくが、私は個人としては、榊原英資というおっさんは大嫌いである。エリート臭をプンプンさせて、いつもヘラヘラしゃべっているのを見ると、ぶん殴りたくなる。しかし、11月1日に書いたとおり、政治家を選ぶ行為は情緒的な選択であってはならないのである。だから、個人的には嫌いだが、財務省としての資質という点では確かに適任であろうと思い、この文章を書いた。
|