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2008年10月02日(木) |
【金融危機】「米上院、金融法案を可決 下院3日にも採決」←下院で可決しても抜本的対策とは言えませんね。 |
◆記事1:米上院、金融法案を可決 下院3日にも採決、成立なお不透明(日経 2日 11:04)
米上院は1日夜(日本時間2日午前)の本会議で、預金者保護の拡大などを盛り込んだ金融安定化法案の修正案を賛成多数で可決した。
下院が否決した法案に税制優遇措置などを加え、幅広い支持取り付けに配慮した。
下院は3日にも修正案を採決する予定だが、前回の本会議で造反した共和、民主両党議員の動向は不透明で、
法案の行方はなお予断を許さない。投票結果は賛成74、反対25だった。
民主党のリード院内総務は法案可決後、記者団に「この法案は米国のためのものだ。
下院も同調することを期待する」と表明した。上院幹部は党派を超えた圧倒的多数による可決で、
週内成立に弾みをつけたい考えだ。上院での法案可決を受けてブッシュ大統領は
「米国民と米経済は、下院が修正案を週内に可決することを期待している」との声明を発表した。
◆記事2:東証大引け・大幅反落、年初来安値――米金融不安や景気悪化で (日経 02日 15:25)
2日の東京株式市場で日経平均株価は大幅に反落。終値は前日比213円50銭(1.88%)安の1万1154円76銭で、
2営業日ぶりに年初来安値を更新。2005年5月26日(1万1027円94銭)以来、約3年4カ月ぶりの安い水準を付けた。
朝方こそ続伸で始まったものの、その後は米金融問題に対する不透明感や世界的な景気悪化を懸念した売りで下げ幅を拡大し、
大引けにかけ一段安となった。東証株価指数(TOPIX)も大幅に反落し、2営業日ぶりに年初来安値を更新した。
前場中ごろ過ぎに米金融安定化修正法案が上院で可決されたと伝わったが、その後はむしろ売りが優勢になった。
上院での可決は織り込み済みとして、下院での審議や法案の実効性などを見極めたいとの雰囲気が広がったという。
高く始まった大手銀行株は後場に入り、徐々に弱含んだ。
◆記事3:米景気、急激に悪化の公算=金融危機、最も深刻−IMF分析(10月2日23時32分配信 時事通信)
【ワシントン2日時事】国際通貨基金(IMF)は2日、世界経済見通し(WEO)の分析部分を公表した。
過去の金融混乱と経済の関係について考察し、米国経済が急激に悪化する可能性が極めて強いと結論付けた。
IMFは過去30年間、先進17カ国で発生した銀行、証券、為替市場での113の金融混乱の事例を調査。
その結果、米国が現在直面する金融危機は「最も深刻な事例の一つ」で、対象国のほぼすべてに波及していることが分かった。
◆コメント:日経、朝日、毎日、読売の社説を読みましたが、これほど同じ趣旨になるのは(今回は当然なのですが)珍しい。
私は、何度もここで米国から始まった金融危機は世界に波及する怖れがある、と書きましたが、市井の一般人がいくら書いても
信頼性に欠けるでしょう。そこで、9月29日、米下院が金融法案を否決した翌朝の、
日経、朝日、毎日、読売の社説を読みました。事態を客観的に見たら同じ結論になるのは、当然なのですが、
4大紙の社説が、これほど同じ論調になるのは珍しい。
◆日経:社説 米国は金融恐慌回避へ責任ある行動を(10/1)
世界の市場関係者があぜんとしたのではないか。
米下院は29日、深刻化する金融危機に対応して打ち出された米金融安定化法案を否決した。
市場の混乱を深め、世界的な金融恐慌を招きかねないという認識がまるで欠けた無責任な行為である。
米政府と議会は、公的資金を使った不良資産の買い取りという大枠を維持しつつ、
速やかに修正法案をまとめ、成立させるべきだ。日本政府も米国に対して強い危機意識を明確に伝えるべきだろう。
◆朝日社説:米金融法案否決―世界への責任を自覚せよ(2008年10月1日(水))
世界の金融史に残る動乱の9月。その大詰めに、とんでもないどんでん返しが控えていた。
米議会下院が、7千億ドル(約75兆円)の公的資金で銀行・証券の不良資産を買い上げる金融安定化法案を否決してしまった。
危機の連鎖を恐れた世界中の株式市場は総崩れとなった。
同じ日に欧州でも銀行の国有化が相次ぎ、危機が広がっていた。
信用不安から、金融機関の間でのドル資金の貸し借りが世界的にマヒしているため、
日米欧の中央銀行がドル供給の追加を表明した直後の否決である。
世界経済は恐慌という地獄のふちに立っているといっても過言ではない。
法案をこのまま葬れば、世界の金融システムは大混乱に陥る恐れがある。
米国の政府と議会は、その責任を自覚すべきだ
◆毎日社説:米金融法案否決 深まる危機に目を覚ませ 市場の安定化は米国の責任だ。
現実の世界で深まる危機の重大さを、政治の世界は理解できなかったようだ。
米国発の世界金融恐慌を食い止めるうえで、重要な一歩と見られていた金融安定化策を、米下院が否決した。
マラソン協議の末、政府と議会の両党指導部がやっと合意した法案だった。
それが多数の議員の造反により葬られるという、まさかの結果となり、世界が震え上がった。
ニューヨーク株式市場のダウ工業株30種平均は、史上最大の下げ幅を記録し、
動揺は日本などアジア市場にも及んで、我々を不安の渦に巻き込もうとしている。
米国の政治家は、市場の警鐘を謙虚に受け止め、目を覚ます時だ。
◆読売社説:米国発金融危機 米政府と議会は迅速に動け(10月1日付・読売社説)
世界経済は恐慌の瀬戸際、という声さえ出てきた。米国発の金融危機はなんとしても抑え込む必要がある。
米国政府と議会は、サブプライムローン問題の“震源地”として、責任を自覚してもらいたい。
金融安定化法案の成立を急ぐべきだ。
何度も同じ事を書きますが、現在、世界中の金融システムが危機に晒されているのはサブプライムローン問題に端を発している。
世界に迷惑をかけていることをアメリカは認識するべきなのです。新聞の論調が同じであるのは、それが客観的事実だからです。
◆金融危機により、世界同時株安になると、何が困るのか。
国内の会社は皆多かれ少なかれ、株に投資しています。日本の株価も米国につられて、今日は年初来安値を付けました。
すると、評価損が出ます。決算に影響します。業績が悪くなります。
これは、日本の銀行も例外ではない。大手銀行6グループの9月期末の株式の含み益は合計で約2兆8000億円と、
3月期の約3兆8500億円から27%も減少しています。銀行自身の評価益が減る、つまり業績悪化が予想されるわけです。
さらに前述の通り、国内の会社(事業会社。普通の会社)も株安で決算が予想より悪くなります。
銀行は、自分自身が保有する株の評価益が減っているので、下手なことは出来ない、と考え、業績が悪化している会社へ、
お金を貸さなくなります。貸し渋りという奴ですね。
これが極端になると、企業が連鎖的に倒産する。
銀行自身も「あの銀行は危ないのではないか」などという「風評」が流れただけで、
他の銀行から短期金融市場で資金を調達出来なくなったり、お客さんが預金を引き出そうと殺到する「取り付け」騒ぎがおきます。
資金を調達できなれば、資金繰りが付かないのですから、潰れます。
すると、その銀行にカネを貸していた銀行が潰れる。これが金融恐慌のひとつの典型的な形です。
◆どうすればよいのでしょう。
米国上院は、修正金融法案を可決しました。これを下院が3日に採決します。
今度は可決する、と思いたいですけどね。何の保証もない。
また否決したら、世界中パニックでしょうね。
しかし、同法案が可決されたとしても、問題の抜本的解決にはならないのです。
現在米国が提唱しているのは、公的資金で米国の金融機関から不良債権を買い取る。
買い取るのだから、銀行にはお金が少しは入ります。とりあえずの資金繰りには助かります。
しかし、今まで既に不良債権処理の為、米銀は資本を取り崩しているので、経営基盤が弱くなっています。
不良債権だって、米国の不動産価格は下がり続けているのですから、新たな不良債権が生じる。
キリがないのです。
だから、本当は、今回の金融法案は、「応急処置」みたいなものです。
米国の銀行が連鎖的に破綻して金融恐慌になるかも知れない、という世界の不安を除去するためには、
公的資金を直接銀行に注入して、資本の充実を図らないと、世界同時株安が続く可能性があります。
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