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2006年10月02日(月) |
衆議院本会議、会議録(一部)/トロンボーンによる「くまんばちの飛行」 |
◆記事:<衆院代表質問>安倍首相、A級戦犯の見解表明避ける
衆院は2日の本会議で、安倍晋三首相の所信表明演説に対する自民、民主両党の代表質問を行い、国会論戦がスタートした。
首相は第二次大戦のA級戦犯を裁いた極東国際軍事裁判(東京裁判)について「裁判を受諾しており、異議を述べる立場にない」としたうえで、
A級戦犯の戦争責任について「先の大戦に対する責任の主体についてはさまざまな議論があり、政府として具体的に断定することは適当ではない」と述べ、
見解の表明を避けた。民主党の鳩山由紀夫幹事長の質問に答えた。
また、首相は先の大戦をめぐる歴史認識について、95年の村山(富市)首相談話を引用する形で
「我が国がかつて植民地支配と侵略によって多くの国々、とりわけアジア諸国の人々に対し多大の損害と苦痛を与えた」と語り、
過去の政府見解を基本的に踏襲した。小泉純一郎前首相の靖国神社参拝で途切れた中国、韓国との首脳会談については
「実現に向け双方で努力していく」と表明。自身の靖国参拝に関しては「闡明(せんめい)(明らかに)するつもりはない」と、
行くか行かないかも含め発言しない立場を改めて示した。
首相は総裁選などでも、A級戦犯の戦争責任について「歴史家の判断に任せたい」と発言していた。
小泉前首相は在任中「戦争犯罪人という認識をしている」(05年6月2日の衆院予算委員会)と答弁している。
東京裁判をめぐる政府見解では同年10月、政府答弁書で「裁判に異議を述べる立場にはない」としている。
ただ、A級戦犯については「我が国の国内法に基づいて言い渡された刑ではない」との認識も示すなど、
戦争責任の位置づけは不明確で、安倍首相答弁はあえてこの問題で判断を明示すべきではない、との考えを示したものだ。
また、首相は社会保険庁改革について非公務員化を検討するなど、
次期通常国会への再提出も視野に、政府の改革関連法案を見直す考えを示した。(毎日新聞) - 10月3日1時14分更新
◆会議録:(衆議院TVより、一部抜粋)
◆民主党鳩山幹事長代表質問(抜粋)
総理は総裁選で「戦後体制からの新たな船出」を強調されました。
しかし、総理の著書などで、いっときはA級戦犯容疑者であった岸信介元首相への思い入れなどを読ませていただくと、
「戦後から船出」して、「戦前のレジームへ回帰」するのではないか、と疑わざるを得ないのであります。
人間観・歴史観を持たずには政治は出来ません。
私は二度と悲惨な戦争の惨禍を繰り返さないという意味で、日本の過去の「非」たる部分は「非」と認めるべきだと考えます。
「自民党には『歴史観』がある」と述べられた総理にそれでは、伺います。
先の大戦と戦前に日本がアジアで行った行為について、日本政府は、小泉前総理ですら植民地支配と侵略という認識を示しておられますが、
安倍総理はこの認識をそのままお認めになるのか、或は否定なさるのか。 総理のご見解をまずお伺いいたします。
総理は、所謂「A級戦犯」について、ある雑誌に「A級戦犯とそれ以外の人たちを分けろ、という考えは的を射ていない」とご発言になっています。
所謂A級戦犯と言われる人には、国家指導者としての責任がない、というお考えなのでしょうか。
そうであれば、一体誰に責任があるとお考えなのか、をお尋ねいたします。
総理は「靖国神社に行く、行かないについては、言うつもりはない」と逃げておられます。
これは、「確たる信念を持ち、たじろがず、批判を覚悟で臨む」という、総理ご自身の政治姿勢と矛盾しているばかりではなく、
中・長期的に見れば、国際的な相互信頼関係を妨げるのであります。
総理は近々、中国、韓国を訪問される予定と報じられていますが、それは結構なことではありますが、
立場を明確にしない、「あいまい戦術」では、逆に、信頼を損ない、いずれ破綻をして小泉前総理の二の舞になることは目に見えているではありませんか。
靖国神社参拝についての総理の明確な答弁をここで求めます。
◆安倍首相答弁(抜粋)
過去に日本がアジアでとった行動についてのお尋ねがありました。
先の大戦を巡る政府としての認識については、平成7年8月15日、および、平成17年8月15日の内閣総理大臣談話等により、示されてきているとおり、
わが国はかつて、植民地支配と侵略によって、多くの国々、とりわけアジア諸国の人々に対して、多大の損害と苦痛を与えた、というものであります。
所謂「A級戦犯」の国家指導者としての責任についてお尋ねがありました。
先の大戦の責任の主体については、様々な議論があることもあり、政府として具体的に断定することは適当ではない、と考えます。
いずれにせよ、わが国はサンフランシスコ講和条約第11条により、極東国際軍事裁判所の裁判を受諾しており、
国と国との関係において、この裁判について異議を唱える立場にはない、と考えています。
私の靖国神社参拝についてお尋ねがありました。
靖国神社参拝につきましては、国のために戦って尊い命を犠牲にした方々に対して手を合わせ、
ご冥福をお祈りし、尊崇の念を持ち続けて行きたいと思っております。私がこれまで(靖国神社に)行くか行かないか。
或は参拝したかしていないかについて、闡明(せんめい)するつもりはない、と申し上げてきたことは、
私が個人としてまさに考えるところであります。(以上、テープ(?)起こしby JIRO)
◆コメント:「美しい国へ」と微妙にニュアンスが違いますね。
民主党の鳩山幹事長が、質問の中で、「確たる信念を持ち、たじろがず、批判を覚悟で臨む」とのべているのは、
安倍晋三氏著のベストセラー「美しい国へ」40ページにそのまま載っている、故・チャーチル元英首相の言葉である。
安倍氏は、
古今東西の政治家の中で、わたしがもっとも決断力に富んでいたと思うのは、英国のチャーチル首相である
という書き出しで、第2次大戦中、ナチスドイツに対抗するための軍備増強の必要性を唱え、はじめ、その主張は無視されたが、
チャーチルは決して信念を曲げず、結果的に連合国を勝利に導いたこと。
若い頃から、すぐれた大英帝国の力を維持するためには、国民生活の安定が不可欠だと考え、社会保障の充実を唱えてきたこと、を挙げ、
安全保障と社会保障---じつはこれこそが政治家としてのわたしのテーマなのである。
確たる信念をもち、たじろがず、批判を覚悟で臨む---新たな決意だ。
と結んでいる。鳩山幹事長はこの言葉を引用しているのである。
確かに、「美しい国へ」における安倍氏は相当勇ましい。
この「決意」を読むと、靖国に参拝するのかしないのか?との鳩山氏の質問に対して、
私がこれまで(靖国神社に)行くか行かないか。或は参拝したかしていないかについて、闡明するするつもりはない、と申し上げてきたことは、
私が個人としてまさに考えるところであります。
という答弁は、おかしい。
百歩譲って、
「個人として考えるところであります」
とは、「今後に関しては、目下思案中だ」という意味に受け取るとしても(確たる信念を持っているなら本当はそれも、おかしいのだが)、
少なくとも、過去に参拝したことがあるのか、ないのかに関しては、答えは、イエスかノーのいずれかしかないであろう。
言うまでもなく、「歴史的事実」は一つしかないのだから、安倍首相の答弁は、
「確たる信念を持ち、たじろがず、批判を覚悟で進む」
「政治姿勢」の180度反対方向を向いている。
話が逸れるが、「闡明(せんめい)」とは、また随分難しい言葉を使ったものだ。
広辞苑第五版によれば、
はっきりしていなかった道理や意義を明らかにすること。
だそうだ。しかし、これは、余談である。
◆「美しい国へ」を読むと安倍首相は「東京裁判は無効だ」、と言いたげなのが、良く分かる。
安倍首相の思想の危険性を語る人は一人や二人ではないが、多くの人が述べるとおり、
小泉首相は靖国参拝をしたものの(私はこれ自体違憲であり、許されない、と過去に何度も書いているが、それに関してはここでは省く)、
A級戦犯は「戦犯だ」という認識を持っているのに対して、
安倍首相は、「美しい国へ」第二章 「自立する国家」69ページ、「『A級戦犯』をめぐる誤解」で、
法的な議論を持ち出して、「A級戦犯は、犯罪者ではないということを立証しようと試みている。
そして、さすがに、そこまではっきりとは書かないが、
そもそも東京裁判は無効だ
と言いたがっていることが、読む人が読めば分かる。
鳩山代表が、安倍首相の政治思想の核心に迫る、
所謂A級戦犯と言われる人には、国家指導者としての責任がない、というお考えなのでしょうか。
そうであれば、一体誰に責任があるとお考えなのか、をお尋ねいたします。
という質問を大上段からぶつけているのは、かなり緊迫した状況だったのである。
もしも、安倍首相が「東京裁判は無効だ」と答えたら、えらいことになる。
1951年9月8日に、第二次大戦の連合国48カ国と交わした、サンフランシスコ講和条約を認めないと言っていることになる。
何故なら、同講和条約の11条で、日本は東京裁判(極東国際軍事裁判)の判決を受け入れることを認めているからである。
サンフランシスコ講和条約というのは、日本と連合国の戦争状態終結宣言とも言える条約である。
はっきり言って、日本が、この条約に署名し、承認、批准した、ということは、日本が連合国に対して、
「日本は戦争に敗れました。東京裁判も受け入れます。そのかわり、この条約締結後、戦争は終わったものとしてください」と認めた事になる。
これを、今更認めない、と言ったら、国際的信用を失う。狡い、と思われても仕方がない。
そうでしょう?戦後、日本が壊滅的になっているとき、早く連合国との関係を修復すべく、講和条約を承認、批准しておきながら、
その後、経済力と実質軍事力である自衛隊を保有し、世界第二位の経済大国になったら、
「ところで、あの、『東京裁判』って無効じゃねえのか?」
と、態度を変えたら、卑怯だと言われても仕方がない。
分からなければ、サンフランシスコ講和条約について調べ、「美しい国へ」を何度でも分かるまで読んで頂きたい。
昨日、安倍首相は鳩山幹事長の質問に対する答弁で、
わが国はサンフランシスコ講和条約第11条により、極東国際軍事裁判所の裁判を受諾しており、
国と国との関係において、この裁判について異議を唱える立場にはない、と考えています。
といっているが、これは今までの政府の公式見解を「とりあえず」復唱しているだけだ。
繰り返し同じ事を書いて恐縮だが、彼の著書を読むと、彼の本音は、
「東京裁判は無効だ」
というところにあることが、お分かり頂けると思う。
安倍晋三氏は、外見の柔和さからは想像できないほど、危険な思想の持ち主であることに注意するべきである。
◆今日の一曲。トロンボーンによる、「くまんばちの飛行」
はてなブックマークで、トロンボーンで「熊ん蜂の飛行」を吹く男。
を登録してくださっている方がおられるのが分かりました。
1分少々の短い曲です。
ラッパなど、興味がないという人、クラシックは嫌だという人。
1分ぐらい聴けるでしょう?
トロンボーンですからね。あの早い曲をトロンボーンで吹いているのですから。
とにかく、聴いてください。
エンピツの方、お手数ですが、こちらからお聴き下さい。
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