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2008年01月29日(火) |
「大阪・兵庫の研修医98人、別の病院で違法バイト」←そういう状況に追い込んだのは厚労省だろう。 |
◆記事:大阪・兵庫の研修医98人、別の病院で違法バイト(1月29日14時45分配信 読売新聞)
大阪、兵庫両府県の大学病院など26病院の臨床研修医計98人が、医師法に反して別の病院でアルバイト診療をしていたことが、厚生労働省近畿厚生局が行った全国初の実態調査でわかった。
国は昨年、研修医の受け入れ病院に対してアルバイト禁止の徹底を文書で指導したが、多数の違法行為が明らかになったのは初めて。
同厚生局は、研修医の管理が不十分だったとして、補助金返還など各病院の処分を検討している。
同厚生局によると、大阪大付属病院や大阪市立大付属病院など大阪府内の23病院で86人、神戸大付属病院など兵庫県内の3病院で12人。
阪大病院は10人で、1人で50回アルバイトしていたケースもあった。昨年4月に違法アルバイトが明らかになった兵庫医大病院でも新たに1人発覚した。
同法の規定で、研修医は指導医の管理下でなければ診療できないが、大半はアルバイト先の民間病院などで夜間の当直や休日の日直に就き、1人で診療にあたった者もいた。
研修医らは病院に対し、「小遣い稼ぎだった」などと説明したという。
同厚生局医事課は「研修生に医師としてのコンプライアンス(法令順守)を徹底させることも病院側の役割であり、厳正に処分したい」としている。
◆コメント:一見尤もらしい「新研修医制度」だが、穴だらけ。
戦後長い間、医学生は医学部を卒業しても、「インターン」という実地研修をしてから、初めて医師国家試験が受けられたのです。
それまでは、医師ではない。労働者ではないから、給料ありません。そのくせやたらとこき使われて過労死する人も多かった。
それで、医師法が改正されて、医学部を卒業したらすぐに医師国家試験を受けられるようにしました。
合格すれば一応医者ですから、ここで「研修医」という言葉が現れます。
但し、このときの「研修」は義務ではなかった。「2年以上の研修を行うよう努める」という規定しか法律には無かったのです。
一応医者ですから、医療行為を合法的に行えますが、もちろん未熟ですから、殆どは「研修医」として働いたのですが、この研修医という立場がひどいもので、
やはり、超重労働を強いられるのに、給料なんか大学病院だと数万円しか出なかった。食えません。そこで、夜中に研修医が民間病院のアルバイトなどをして、
生活費を稼がざるを得なかった。
病院側も慢性的に人手不足だったようで、受給がマッチしていたのですね。
◆2004年から研修医は法律で義務化され、アルバイトは禁止されました。
「研修医」とはいうものの、病院も忙しいので研修に偏りが出たり、研修医が一人で当直をやって急患を診て間違えて、
裁判沙汰になるようなケースも出てきました。こう言うのを放っておくと、厚労省役人が責任を問われかねません。
そこで、医師法を改正して、2004年(歯科医師は2006年)から、研修医を努力目標ではなく、2年間の臨床研修を義務化しました。
そして、適正な給与を確保するから、アルバイトはしてはいけない、と定めたのです。
当初は、研修医に、月30万円ぐらいの給料を確保するようなことを言っていた厚労省ですが、実際には財源を確保していなかったらしく、十数万というのが実態のようです。
それから、病院毎に受け入れ研修生の数を制限したのです。大学病院などでも無制限に研修医を受け入れることは出来ないのです。
やたら、ややこしい説明が厚労省のサイトに載っています。
例えば、
受け入れる研修医の数、指導体制、臨床研修を行うのに必要な症例について留意する必要があります。
受け入れる研修医の数(単独・管理型病院、協力型病院及び協力施設として受け入れる数+再開を受け入れ又は未修了となる数)は、病床数を10(当面の取扱として当分の間は「8」)で除した数、又は年間入院患者数を100で除した数を越えることは認められません。指導体制については、指導医1人につき研修医5人までとなっています。
臨床研修を行うのに必要な症例については、個別の事例により判断が分かれるので、各地方厚生局に問い合わせてください。
さっぱり分かりません。
とにかくこの結果、以前のように当直にアルバイト研修医を使っていた病院は、夜間当直を出来る医師が激減し、若しくはいなくなってしまったのです。
大学病院も「なんとか型病院」なら何人まで、と受け入れ研修医の数を制限されたので、実質的に労働力だった医師数が減ってしまいました。
このために、関連病院へ派遣していた医師を引き揚げざるを得なくなり、引き揚げられた方の病院は、医師がたりなくて困っています。
◆制度を改変したり、ある事項を禁止すると、困る人が大勢出る事が分かっているにも関わらず、代替策の無いまま実行する厚労省
研修医のアルバイトが違法だ、といって、新聞が騒ぐのはこれが初めてではない。今までにも起きています。このページの真ん中辺りをご覧下さい。
反復して同じ問題がおきるということは、研修医義務化、アルバイト禁止と銘打って、たりなくなった医師の補充や研修医の給与財源を考えなかった厚労省に責任があります。
ちょうど4年前に医師の名義借り騒動でマスコミがさわいだことがありますが、これも医療行政の問題だ、と私は書きました。
医療体制だけではないのです。医薬品の認可、或いは認可取り消しに関しても、この薬をある病気の適用から除外したら困る人が出ると分かっているのに、
昨年、厚労省はそれをやりました。これについては、「『リタリンの使用継続を』=患者ら厚労省に要望」←ひどい医療行政なのですよ。
をお読み下さい。
とにかく、厚労省の役人は、研修制度が充実していない、との批判をかわすために「新・研修医制度」を始めたのでしょう。
研修医制度の改正により本当に充実した研修が行われ、他の医療にも問題を起こさないなら良いことですが、
厚労省の腹立たしいところは、このやり方でやったら、上述したような問題が必ず起きることが分かっていたくせに、そのまま実行に移したことです。
他の役所でもあるでしょうが、厚労省ってのは、とにかくこのような無責任な行政が多いのです。
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