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2008年01月18日(金) |
昨年3月、西本智実という指揮者はなかなか、いい、と書きましたが、やはり当たってるようです。お薦めDVD |
◆残念ながら見られなかったが、「徹子の部屋」に女性指揮者・西本智実氏が出演したそうだ。
事前に分かっていれば録画しておくところだった。
西本智実という女性の指揮者がいる。
私は、性別を特に意識して人物を評することはなるべくしないつもりだが、
何故、「女性」指揮者と書いたかというと、実際に活動を第一線で続けている女性指揮者は本当に少ない。
フィンランドだっけ。北欧に一人いるぐらい。
音楽の演奏家、つまり実際に音をだす人々の世界では男も女も関係なく、上手い人が沢山いるのだが、
こと、指揮者(あと、作曲家ね。)となると本当に少ないのである。何故かは分からぬ。
実は私が西本さんのことを取りあげるのは二度目である。
一度目は、昨年3月に書いた、西本智実という指揮者は、性別と無関係に、なかなか、いい(ココログはこちらです。)である。
私の勘は当たっていたようである。
プロフィールによれば、西本さんは、サンクトペテルブルク国立アカデミックオペラ・バレエ劇場の首席客演指揮者(2004-2006)を務めたり、
ロシアやその他ヨーロッパのオペラ指揮者として、実績を上げつつある(リンクを貼っては悪いから「西本智実」で検索して下さい。プロフィールがすぐ見つかる)。
これは大変なことだ。オペラの音楽監督というのは、棒だけ振っていればよいのではなく、時には歌手に稽古を付けたり、
演出、照明など、音楽以外の事にも責任があるし、大道具、小道具、人員配置など、「事務的な」ことにまで巻き込まれる
(尤も、事務的なことは、一定の劇場の音楽監督に就任した場合の話だが)。
さらに感心するのは、ロシア人の前でロシア人の作品を振るわけですよ。
オーケストラも歌手も、皆、ロシア人。ロシアもののオペラを振るなら、台本が分からなきゃ。
つまりロシア語も堪能であるのは当然の前提条件となる。
これは並の能力では出来ないですよ。
だから、私は、西本さんはすごいな、と素直に尊敬している。
◆ロシアのオペラは最初取っつきにくいですから、「ボレロ・火の鳥・展覧会の絵」を薦めます。
ロシアのオーケストラってのは、皮肉なことに、旧ソ連がなくなってから、財政的に苦しくなって無くなったり、再編されたり分かりにくいのですが、
今日、お薦めするDVDボレロ 火の鳥 & 展覧会の絵を演奏しているのは、1994年に出来たばかりの「ロシア・ボリショイ交響楽団」です。
西本さんは2002年にこのオーケストラの首席指揮者に就任しました(2004年まで)。
このDVDに収録されているのは、「その記念に2003年5月にモスクワ音楽院大ホールで行われた」コンサートだそうです。
昨年書いた記事でも一応お薦めしたのだけど、何の反響も無かったので(笑)、恐らく、皆さん殆ど見ておられないだろうと思い、
再度推薦します。ロシアのオーケストラですから、まずはチャイコフスキーだろう、とか、まあそう堅いこといいなさんな。
◆ボレロ、途中からですけど、聴いてみて下さい。
ボレロ全部やると15分ぐらいかかりますから、途中、私の大好きな、トロンボーンソロ(上手いのですよ)の前のところから最後まで。どうぞ。
ダウンロード Bolero.mp3 (7512.9K)
ボレロは、一体これまで何人の指揮者が振ったか分からないほどですが、全体が長ーーーーいクレッシェンドです。どこから盛り上げるか。
どのぐらいのペースで盛り上げていくか。曲の最後、クライマックスの効果を最大にするために、指揮者は冷静な計算を必要とします。
テンポだけについて述べるなら、最初から、ほぼ、テンポ66で一定なのですが、弦が入るところで65から64に落としています。
そして、最後、全オーケストラがコーダに向かうところで再び66から、66.7ぐらいに上げている。
更に、クライマックスでコントロール不能なほど興奮しない、冷静さ。
一番白けるのは、指揮者が大暴れして、オーケストラがシラーっとしている状態。
こういうのがCDじゃなくてDVD(高いけど)の良いところでして、西本さんがどういう振り方をしているか。
見れば、十分に場数を踏んで、勉強していることがわかります。
また、演奏者。前半、ヴァイオリンなどはピチカートだけですが、楽器をどう構えているか。
出番を待つ管楽器奏者が如何にそわそわしているか。
小太鼓がテンポを一定に保つためにどれ程集中しているか。なども分かります。
長くなるので書きませんが、「火の鳥」「展覧会の絵」共に、ロシアのオーケストラならではの「馬力」を感じます。
名演だと思います。今すぐに買えないかたも、「ウィッシュ・リスト」にいれておかれては如何でしょうか。
今日のところはこの辺で、失礼を致します。
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