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2006年01月18日(水) |
「存在価値が疑われる」 東証取引停止で金融相←何でも東証の責任にするのは正しくない。 |
◆記事:「存在価値が疑われる」 東証取引停止で金融相
与謝野馨金融担当相は19日午前の閣議後記者会見で、東京証券取引所の取引停止について
「取引ができない取引所は、その存在価値すら疑われる。しっかりとした対応をしてもらいたい」と東証に注文した。
金融相は「異常な中での取引停止」と理解を示したものの「一日も早く正常な姿に戻す意気込みで対処をしてほしい」と述べた。
また一部の証券会社がライブドアグループ株式の担保評価をゼロに引き下げたことについて
「一気にゼロになるというのは、投資家にとって困惑の極み。混乱に拍車をかけたと一部が疑うのは当然だ」との見方を示した。
(共同通信) - 1月19日12時52分更新
◆コメント1:何があっても東京証券取引所の責任にするのはおかしい。
東京証券取引所の社長ほど、誰も「なりたくない」ポジションは、日本中見回してもあまりないと思います。
昨年秋、東京証券取引所は急増する株式取引量に対応するために、システムを刷新したのです。
ところが、そのときのプログラムにミスがあって、11月1日、システム障害があり、株の売買が停止してしまいました。
日本中の非難の集中砲火を浴びました。
さらに、昨年暮れ、みずほ証券がジェイコム株を誤発注したとき、
みずほ証券のディーラーが注文を間違えたのが、第一の原因なのに、
誤注文を取り消そうとしたが取り消せなかったのは、東京証券取引所のシステムに不備があったからだといって、
間違えた張本人であるみずほ証券よりも、東京証券取引所の社長のほうに非難が集中しました。
社長は辞任しました。
そして昨日です。
昨日は、ライブドアの粉飾決算が原因で売り注文が殺到して、そのまま動かしたら、
またシステム障害が起るかも知れないというので、
約定(取引が成立すること)件数が400万件を超えた午後2時40分で、
システムには何ら異常が起きていなかったけれども、一切の売買を止めたのです。
しかも、これは、あらかじめ宣言していたのです。
昨日の後場が始まってすぐに、「約定件数400万件を超えたら、緊急措置として止めるよ」
とプレスリリースがあり、そのとおりにした。
もしも、昨日のものすごい量の取引を放置しておいたら、またシステム障害を起こすかも知れない。
そして、その日のうちにシステムを短時間でバージョンアップできるわけがない。
システム障害が起きたら、市場参加者がいくら、キーを叩いても、反応しないとか何とか、
大騒動になったことはほぼ間違いがないので、社長の決断は正しかったと思います。
これを責めるのはあまりにも酷ではないかと思います。
ライブドアのような話題の会社にいきなり前日、東京地検特捜部が捜査に入ったわけです。
事前に捜査に入ることを東京地検が東京証券取引所に教えてくれるわけはありません。
これほどの大事件の翌日、ライブドア株がものすごい取引量になることは明らかですが、
予め知ることはできなかったのですから、それに備えろ、というのは、無理だと思います。
◆コメント2:東京証券取引所は民間企業なのだから、むやみやたらと設備投資するわけに行かないのだ。
今日は、臨時閣議が開かれました(通常、閣議は火曜日と金曜日の朝にしか開かれません)。
閣議後の記者会見で与謝野金融相は「取引を停止するようでは、(証券取引所として)存在意義が無い、と、
与謝野さんにしては随分きついことをいいました。
大体見当は付きます。多分、理屈も分からない小泉が、
「東証をちゃんとみておけ!」と与謝野氏を叱ったのでしょう。
しかし、繰り返しますが、無理な注文だと思います。
東証は「株式会社」なのです。「民間企業」なのです。
収益をあげなければならない。
赤字になっても良いから、カネに糸目をつけず、設備投資してもよいというのなら、
スーパーコンピューターを何台も入れて、一日「一億件」の取引が殺到しても大丈夫、
というシステムを構築できるでしょう。
しかし、それは不可能です。
今は、個人投資家(NEETとか主婦とか)が、自宅のパソコンから株式売買注文を出せるようになって、
その数が加速度的に増えています。
けれども、これがどの程度まで増えるか全く予測は不可能です。
昨日のライブドアで大損をしたことにより、今後、個人投資家が減るかも知れない。
そうしたら、今のシステムでも十分対応可能なのです。
「今のペースで市場参加者が増え続ける」という、何ら根拠がない前提に基づき、
巨額の設備投資をしたあとで、市場規模がどんどん縮小してしまったら、
設備投資のもとが取れず、東京証券取引所は倒産してしまうかも知れません。
だから、民間企業である東京証券取引所に「どのような取引量にも対応できるようにしろ」ということ自体、
民間企業の本質に鑑み、無理だというのです。
◆コメント3:M&Aも個人株主の台頭もアメリカ年次要望書のとおり商法改正を行ったのが発端です。
商法は明治44(1911)年に制定された後、何度か細かい改正をしていますが、
平成13(2001)年の商法大改正は50年ぶりの大改正と呼ばれました。
そんな「大改正」を行う必然性は無かったのです。
何故行ったのかといえば、アメリカが毎年日本政府に突きつける、年次要望書に屈したからです。
何故、アメリカが、日本の商法に口を出すかというと、アメリカの資本が日本企業を乗っ取りたいからです。
◆コメント4:株式持ち合い制度の消滅。
商法改正前、従来の日本の企業慣行である「株式持ち合い」
(事業会社(普通の会社)同士、又は、銀行と事業会社がお互いの株を持ち合うこと)が存在していた頃は、
変な奴に会社を乗っ取られる心配はありませんでした。アメリカ資本とて付け入る隙が無かったわけです。
ところが、商法改正の一環として、企業金融審議会という首相の諮問機関が、
アメリカのご機嫌にかなうように、「銀行の株式保有規制」を打ち出しました。
これで、いつ日本の会社がアメリカ人に乗っ取られてもおかしくない状況となりました。
そうしたら、アメリカも出てきたけど、こともあろうに、同じ日本人の中から、
堀江とか村上とか言う連中がアメリカ人と同じことを始めたわけです。
M&A自体は、アメリカでは普通のことだといいますが、日本人の感覚には馴染まないと思います。
昨年書きましたが、日本人は「場」を共有する集団を重んずる世界です。
これは、もはや日本人論の古典的名著、中根千枝先生のタテ社会の人間関係に書かれている学説ですが、非常に説得力があると思います。
余談となりますが、日本人論は、この他に「甘え」の構造 (土居 健郎 (著))と、日本人とユダヤ人(イザヤ ベンダサン著) が必読書です。
◆コメント5:単位株制度の廃止→個人株主の台頭
さらに、この時、「単位株制度」が廃止になりました。
それまでは、株の売買単位が1単位で、1単位あたりの純資産額が5万円以上で無ければならなかったのです。
だから、個人は手が出せなかったのです。
改正後は「単元株制度」になり、売買単位は「1単元」になり、
会社が「1単元」を何株にするか自由に決められるようになりました。
このため、少額の資金で株式の売買が可能になり、さらにインターネットの発達とネット専業証券会社が伴いました。
これらの要因が重なり、ド素人の「個人投資家」が株式市場に姿を見せるようになりました。
個人投資家の株式売買取引件数は加速度的に増えた訳です。
誰もこれほど増えると思っていなかった。
だからしょっちゅう、システム障害を起こしているのです。
この取引件数の増え方を予想しておくべきだったというのは、完全に後付けの批判です。
昔だって、個人で株をやる人はいました。
しかし、先に述べたとおり、ある程度はお金がある人じゃなければできなかった。
それから、売買取引そのものが、ネットでやるほど簡単じゃなかった。
連絡手段はせいぜい電話です。
勿論、株価をリアルタイムで表示するモニターなど、無かった。
株をやる人は、皆、短波放送のラジオをもっていて、
一日に何回か、アナウンサーが読み上げる銘柄と価格を聴くしかなかったのです。
今のような大量な件数の取引に発展しようがありません。
今にして思うと、個人の株取引なんて、それぐらいが丁度良かったのだろうと思います。
「個人のデイトレーディング」(あれは絶対に異常です)なんて、やりたくてもできなかったのですから。
◆コメント6:大雑把に言えばそういうことです。
専門的には、商法改正によって、時価会計・減損会計の導入という、企業の会計処理上の変更があり、
それと株式持ち合い解消には関係があるのですが、実を言うと私も専門家ではないので、細かい話なので省きます。
要するにですね。
会計制度は、国によって少しずつ違って当たり前なのに、
アメリカは、「国際会計基準」というルールを作って、
世界中の国の会社にアメリカ式の会計を押しつけようとしている、ということです。
堀江や村上ファンドや、ヒルズ族の人品も疑いますが、根底には、「ここにもアメリカがいる」という、話でした。
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