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JIROの独断的日記
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2007年12月19日(水) 「小児の注意欠陥障害、国内初の治療薬発売…流通は管理導入」←大人の注意欠陥障害の薬は10月26日突然無くなったのです。

◆記事:小児の注意欠陥障害、国内初の治療薬発売…流通は管理導入(12月19日19時43分配信 読売新聞)

ヤンセンファーマ社(東京・千代田区)は19日、小児の注意欠陥・多動性障害の治療薬「コンサータ」(一般名・塩酸メチルフェニデート)を発売した。

同疾患の治療薬が販売されるのは国内初めて。依存性の高い向精神薬「リタリン」と同じ成分のため、

同社は販売開始に合わせて、処方できる医師や薬局を限定する登録制にし、流通を管理する仕組みを導入した。

同社によると、コンサータは同疾患の治療薬として、2000年8月に米国で初承認された後、

世界70か国以上で使われている。国内では原則18歳未満の患者に対して、有効成分の量が異なる2種類の錠剤が販売される。



◆解説・コメント:大人の注意欠陥障害(ADD)、多動症(ADHD)の薬がある日突然、無くなってしまったのです。

 簡潔に事実を書きます。今年の10月25日まで、ノバルティス・ファーマが販売していた、

「リタリン」という薬の適応症は、突然眠ってしまう病気、ナルコレプシー、遷延性・難治性うつ病でした。

リタリンはアメリカで最も多く使われていますが、アメリカでは子供も大人も注意欠陥障害(ADD)、多動症(ADHD)の薬として使われています。

日本では、リタリンの正式な効能にADD・ADHDは含まれていませんが、「うつ病」ということにして、ADD・ADHDの患者に処方されていました。

こういうのを「適応外処方」といいます。厚労省も知っていたけれど、長いこと別にいいだろうと黙認していました。

(ADD,ADHDが如何なる病気か、は、メルクマニュアルか何かで調べて下さい。そこから説明すると長くなりすぎます)。



◆東京・新宿の開業医がリタリンの処方箋を無闇に出して、業務停止になりました。

 今年の9月なかば、一部では有名だったらしいのですが、東京都新宿区の東京クリニックという精神科の開業医が、

ろくに患者を診察もせず、依存性のあるリタリンの処方箋を乱発していたかどで、東京都の立ち入り検査を受けました。

また、ずっと前(私の記憶に残っているだけでも5年)から、毎日新聞が、リタリンをどういう訳か、その「依存性」という

副作用だけを誇大に強調して、この薬が正しく使われた場合の効果に誤解を生む報道を繰り返していました。

東京クリニックに立ち入り検査が入ってから、毎日新聞は、ここぞとばかり、リタリンをあたかも悪魔の薬のように報じました。



◆10月17日厚労省薬事審議会でリタリンの効能から「遷延性・難治性うつ病」を削除することが決まりました。

 正確に書くならば、審議会は行政府そのものではなく、行政府が作った「有識者」の諮問機関です。

審議会の決定自体は「答申」にちかく、それ自体は国家権力ではありません。

そして、リタリンの効能から「遷延性・難治性うつ病」を削除したい、といいだしたのは、この薬を製造販売している、

ノバルティス・ファーマでした。

リタリンの濫用が社会問題化していて、それを販売している自社のイメージダウンを損ねる、というのが理由でした。

しかしながら、私が9月21日に書いた記事で引用した、

同日付の毎日新聞の記事には、こう書かれています。

国立精神・神経センター(東京都小平市)の調査で、リタリンを乱用して依存症などの副作用で入・通院したケースが06年度、精神科病床を持つ全国の医療施設で15例に上り、

2年前の約2倍になったことが明らかになっていた。

9月21日にも書きましたけれども、

15例が深刻な社会問題なら、全国で80万人の依存症患者がいて、1万7千人もが外来・入院で治療を受けている、アルコール

(医療には用いませんが、アルコールは精神に作用する、という意味において歴とした向精神薬です)を何故、問題にしないのでしょう。

アルコールは嗜好品、つまり遊びですが、本当にリタリンを必要とする人は、日常生活を正常に保ち、働いたり、学校に行くために

服用していたのです。

そんなことは百も承知なのに、10月17日に開かれた薬事審議会は、リタリンの使用をナルコレプシーに限定したのです。

リタリンの適応から「遷延性・難治性うつ病」を除外したことにより、うつ病患者のみならず、適応外処方でリタリンを処方して貰い、

正常な社会生活を送っていた患者からも、リタリンを取りあげたのです。



◆10月26日、厚労省から通達が出て、リタリンの適応はナルコレプシーだけになりました。

 厚労省は薬事審議会からわずか9日後、10月26日、通達を出し、リタリンはナルコレプシー(突然、眠ってしまう病気)以外に

処方してはいけない、といいました。精神科医は皆、この日を境にリタリンをうつ病患者、ADD,ADHD患者に処方しない、と言いました。

長期に亘って服用している薬は、たとえ止めるとしても段々と量を減らさなければならないのが常識です。依存症でなくても、

突然の断薬は、患者に取って良くないことは医療従事者なら誰でも知っている。

なのに、「お上のお触れ」に恐れを成して、全く処方しなくなりました。



◆コンサータの適応は、記事にあるとおり、小児の注意欠陥障害・多動症です。薬価はリタリンの15倍です(同量換算)。

 それまで、リタリンを濫用などせず、真面目に服用してきた患者は、突如、その必要な薬を国によって強引に断たれたのです。

遷延性・難治性うつ病患者のみならず、適応外処方でリタリンを処方されていたADD,ADHDの患者は、途方に暮れました。代替薬が

無いからです。コンサータは小児のADD,ADHD患者にしか、処方されないのです。

つまり、大人のADD、ADHD患者は、使える薬が全くなくなってしまったのです。

こんな事があってよいのでしょうか。

まだ、不審なことがあります。

マスコミはどうしてそういうことを解説しないのか、何か得体の知れないウラの世界の利権が絡んでいるとしか思えないのです。

コンサータは商品名が違うだけで、一般名はリタリンと同じメチルフェニデートです。リタリンの薬価は1錠10mg=11.8円でした。

一方、コンサータの方が薬価は、なんと、1錠18mg=336.6円です。リタリンを同じ10mgに換算しても、186円です。リタリンの15倍です。



◆天下り先確保にせよ、遷延性・難治性うつ病患者、大人のADD、ADHD患者の薬をある日突然無くしていいのでしょうか。

 コンサータを販売するのは、ヤンセン・ファーマという薬屋ですが、ここが厚労省役人の天下り先になっているであろうことは、

想像に難くありません。それにしても、ある病の患者から薬を完全に取りあげるとはどういうことでしょうか。

繰り返しますが、リタリンが無くても、同様の効果を持つ、他の薬を選択できるのなら問題はない。

しかし、そういう薬はないのです。厚労省は、遷延性・難治性うつ病やADD,ADHDの大人の患者に、「勝手に具合が悪くなって、

のたれ死にしなさい」と言っているようなものです。

12月3日の記事(ココログはこちら)に書きましたが、遷延性・難治性うつ病は、同日(12月3日)、リタリンを限られた医師しか処方できなく

しようとしているノバルティス・ファーマを相手に、それを止めるように仮処分を東京地裁に申し立てました。

リタリン報道にもっとも熱心な毎日新聞はこれを完全に無視しました。

どうして、無視するのか。

私は毎日新聞宛に質問状(ココログはこちら)を、12月7日に送りました。

それから、12日が経過しました。

2007年12月19日(水)23時33分現在、毎日新聞から返事は来ていないことを、読者の皆様に報告します。

マスコミもさることながら、厚労省はありとあらゆる手で弱者を痛めつける役所であることが、この経緯からも分かります。

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2005年12月19日(月) プロのプロたる所以。
2004年12月19日(日) 「目を閉じたまま音楽を聴くほど、馬鹿げたことはない」 (ストラヴィンスキー) 第九の季節ですね。
2003年12月19日(金) <自衛隊派遣>空自に命令 本隊は首相承認経て1月下旬に ←反対。日本が戦争をしてはいけない。
2002年12月19日(木) 全ては幻想である。

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