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JIROの独断的日記
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2007年12月01日(土) ベートーベン交響曲全曲(その13)第四番 第一楽章 by 朝比奈隆、カルロスクライバー、カツァリス(ピアノ)

◆同じ曲を色々な人の演奏で聞き比べるのは、確かにクラシックの楽しみの一つです。

人それぞれ、好みは違いますので、「クラシックなんざ、大嫌えだ。」という方もいらっしゃって当然です。

人間に生まれたからにはクラシックを好きになるべきだ、などとは私は全く考えていませんが、食わず嫌いの方が好きになって下さったら嬉しいな、

と願いつつ、毎度知ったかぶりをしておりやす。へい。


つまり私は、今更言うのも何ですが、クラシックが好きなんですよ。何と云われようが。キザだと言われようが何と云われようが関係ないのですね。

何故かと訊かれても、答えようがない。「好き」に理由は無いんで、「好きだから好き」なんですが、クラシックに関して興味深いと思うのは、

これらの曲は何百年も、色々な人が入れ替わり立ち替わり数え切れないほど繰り返し演奏してきた訳です。

これは、客観的に見て、すごいことだと思うのです。

何百年経っても、しかも西洋音楽なのに、東洋人の私たちまでもが、

繰り返し聴きたくなる音楽を創った人たちというのは一体どういう天才なのでしょう。

尊敬せざるを得ません。



しかしですね。

同じ曲を同じ人が演奏しても、全く同じ演奏ということは2度とあり得ないです。

ましてや、別の人が同じ曲を演奏したら、一人一人全部違うわけです。これが、面白いです。

厳密な意味での「繰り返し」(コピーというべきでしょうか)ではないのです。

クラシックを聴き始めて、最初は違いなんて分かりませんが、色々聴いていると、やがて、

「うーん、ここはもっと速く(遅く)弾いてもいいんじゃないか?」「もっと強く(弱く)弾いた方がきれいなんじゃなかろうか」

「ティンパニもっとガンガン鳴らしてくれえ!」「ティンパニ、やかまし。静かに!トランペットを目立たせなはれ。」

などといっぱし、分かったようなことを云いたくなります。私などがその最たるものですが。皆さん必ずそうなります。

そして、演奏者は勿論、聴き手の感受性もそれぞれ違うから、言うことも皆違います。

こういう風になってくるとやみつきになります。


◆極端に違う演奏を出来れば聞き比べて頂きたいと思い、用意しました。

ベートーベンの交響曲第四番は、統計があるのか分からないし、調べていないのですが、

二番、一番と共に演奏回数が少ない部類に属するのです。最初取っつき悪いけど(私は子どもの頃は退屈で嫌いでした)、

何度も接していると不思議なことに好きになることがあるのです(尤も、くどいようですが好きずきですから、嫌いなままでもいいのです(笑))。

この曲を今日はいつも聴いて頂いている、朝比奈隆&新日本フィルハーモニー交響楽団と、

以前、「お薦めCD」でご紹介した、カルロス・クライバー バイエルン国立管弦楽団 で、聞き比べて頂きたいのです。

どうしてこれを選んだかというと、違いが非常に分かりやすい。これほど対照的なのも珍しい。

何がそんなに違うのかというと、色々ありますけど、最大の違いはテンポです。

そりゃもう、演奏時間が(リピートをするかしないかもあるのですが)五分も違うのです。

テンポが何故そんなに違うかというと、特にベートーベンが楽譜で指定しているテンポは殆ど無茶苦茶なのです。



この曲は最初遅く始まり(アダージョといいます)朝比奈=新日本フィルだと再生開始後3分30秒後辺りでアレグロになります。

アレグロは二分の二拍子で一小節を二拍と考えます。その二拍=全音符を一分間に何回にするか、という書き方をします。

インディアナ大学が有難いことにスコアを公開してくれています。

序奏のアダージョから、アレグロにはいる、このページに、

Allegro Vivaceで全音符=80と書いてありますが、速すぎます。いくらなんでも。

じゃあ、どれぐらいのテンポにするかが指揮者の「解釈」の大切な一要素となります。


◆朝比奈隆=新日フィルは、アレグロが59〜61ぐらいなのです。

朝比奈さんは、全般に遅いのですが、この曲でも、テンポは59〜61ぐらいです。どうぞ。



ダウンロード BeethovenSymphonyNo4First.mp3 (13187.3K)



テンポを測るときには、メトロノームではなく、曲に合わせてボタンをおす、テンポ・カウンターというものを使います。

コンサートでは、使えませんが、ここでは、小さいオンラインソフトでTempo Counterというものが

便利で、使わせて頂いています。

曲に合わせて「1,2」で一小節ですから、一小節に一回、Enterキーを叩くか、Startボタンをクリックします。

叩き損なったら、リセットボタンをクリックしてまた、Enterキーを叩けばいいのです。

余談ですが、一定のテンポを保つのが如何に難しいか良く分かります。

朝比奈さんはだいたい61ぐらいで、楽章の終わりにかけて、59ぐらいにやや、テンポが落ちます。


◆カルロス・クライバーは、何と、76近辺です。

カルロス・クライバーは終楽章ではもっと驚きますが、第一楽章も、朝比奈先生と比べると滅茶苦茶速い。

ベートーベンの指定に近い76ぐらいです。アダージョからアレグロへの移行も、朝比奈さんより、一分も早いのです。どうぞ。



ダウンロード KleiberBeethovenSymphonyNo4First.mp3 (8951.0K)



何でも速ければ良い、ということではありません。朝比奈さんとクライバーの考え方、解釈が違うのです。



若い方はきっとクライバーの方が好きでしょうが、落ちついた朝比奈さんの方が良いという方もおられるでしょう。


それにしてもプロはさすがです。朝比奈さんのテンポで、もしアマチュア・オーケストラにこの楽章を弾かせたら、多分、


テンポを保ちきれなくて、段々速くなると思います。

そんなことでプロを褒めるとは却って失礼かも知れませんが、遅いテンポを揺れないで保つ方が難しいのです。

なお、書き忘れましたが、勿論指揮者は、前もってスコアを読んで、どれぐらいのテンポが良いか決めてから、

リハーサルをします。その時のテンポで本番に臨む訳ですけれども、ときどきリハの時と全然違うじゃねえかよ!

ということがあるらしく、これは、オーケストラを混乱させますから(特に難しいソロがあるパートなどは、たまりません)、

原則的に、やってはあきまへん。


◆【番外】リスト編曲版をピアノで弾くカツァリスは、72近辺です。

カツァリスという人は矢鱈とうまいので、アレグロに入って盛り上がるところでは瞬間的に74ぐらいで弾いています。


ダウンロード BeethovenNo4firstbyPianoForte.mp3 (10936.7K)


いつも同じコメントですいませんが、このピアニストは滅茶苦茶上手いです。

テクニックが有り余っていて、「もっと難しい曲、ないの?」と言っているようです。

今日は理屈っぽくなっちゃった。すいません。それでは。

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2006年12月01日(金) 「衆院議長:またもや注意 ベルが鳴ったら着席しましょう 携帯禁止、新聞も読まないで」←小学生か。
2005年12月01日(木) 「耐震計算偽造:都道府県による民間検査機関検査、国交省が容認へ」←何でも「民に出来ることは民に」は間違っている。
2004年12月01日(水) 「改正刑法など成立」←同時に成立した「犯罪被害者基本法」に意義がある。
2003年12月01日(月) 小泉首相は説明責任をないがしろにしている。民主主義国家では許されないことだ

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