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2007年05月27日(日) |
5月27日は、パガニーニ(1782〜1840、バイオリニスト、作曲家)の命日です。カプリース、カンパネラ、無窮動 |
◆バイオリンに本気で取り組んだ人じゃないと、本当の難しさは分からないと思います。
パガニーニの生涯、主な作品、エピソードなどについては、Wikiペディアに、
詳しく書かれていますので、ここで省きます(そういう「資料」は貴重だけど、それをブログ上に丸写しにしても面白くないでしょ?)
私個人としては、パガニーニ(の曲)がこの世からなくなっても、別に構いません。
しかし、個人的嗜好と音楽史上におけるパガニーニが占める地位は、当然別です。
要するに、この人がいなかったら、今のバイオリン弾きはもっと下手くそだったであろう、ということです。
パガニーニが、これでもか、これでもか、とばかりに超絶技巧(ものすごく難しいテクニック)を自分で考案して、
自分で曲(独奏曲、協奏曲など)を書いて、それら超絶技巧を取り入れ、自分で弾いて見せたがために、
後世のバイオリン弾きは、「こんな難しい曲は弾けないよ」と言えなくなってしまったのです。
しかし、その難しさは、バイオリンを習ったが「ゴセックのガヴォット」で止めてしまったという人には分からない。
勿論私も分かりません。
本気でプロになろうというぐらいの意気込みで高度な技術を身につけようとしている人が初めて分かるのだと思います。
◆プロの音楽記者は、さすがに上手いことを言います。
毎日新聞の首席音楽評論家だった、梅津時比古という人がいます。
多分、日本の新聞の音楽記者で一番、優秀な人だと思います。
今は、専門編集委員という肩書きで、音のかなたへというコラムを、月に二回、書いている。
これはずっと前から書いていて、本になっています。
音をはこぶ風、日差しのなかのバッハなど。
新聞のコラムを中心にまとめた本なので、一編は短いのですが、非常にロマティックな文章を書く人です。
同時に、大変な学識です。近ごろの「のだめ」的、つまり大衆迎合的なところが全然ないので、取っつきにくいかも知れませんけれども、
音楽に興味がある、或いは興味を持ち始めた高校生・大学生など(勿論、大人もですが)にお薦めです。
前置きが長くなりましたが、梅津氏の文章で、パガニーニに触れているものがあります。以下、音を運ぶ風(音楽之友社)68ページから引用
超絶技巧に込められたもの
パガニーニがヴァイオリン曲に刻み込んだ超絶技巧には、安易なものへの拒絶のにおいがする。
適当な技巧で美しく聞こえるような曲など望むな!弾けもしないのにツベコベ言う批評家もどきが多すぎる!と、たたきつけているよう。
実際、彼の曲を完璧なテクニックで弾かれると、黙らざるを得ない。ピチカート、フラジョレット、独自の運弓法などが輻湊(ふくそう)し、
ヴァイオリンの表現の幅を恐ろしいほどに広げている。【引用終わり】
正に、パガニーニの音楽史上の価値はそういうところにあるのでしょう。
◆24のカプリース プロになる人は中学生ぐらいで弾けなければダメです。
最初に聴いて下さい。24番。最も有名な曲です。
ダウンロード CapriceNo24.mp3 (4554.8K)
「24のカプリース」は、お聴きの通り、無伴奏のバイオリン独奏曲。24曲から成り、これは、その最後の一曲です。
こういうのが24曲集まった曲集です。一つ一つの演奏時間はせいぜい3分から4分(7分ぐらいのが確か二曲)ですが、
どの一つをとっても超絶技巧のてんこ盛り。
しかし、プロになるような人は土台才能が違う(勿論練習もハンパじゃないでしょうが)。
海外ではMIDORIで出ている五嶋みどり(五嶋龍君のお姉さん)は8歳で、カプリース全曲を弾いてしまったとか。
8歳は特別としても、音高(音大付属高校)に入るような子は、皆中学のうちに弾けてしまう(弾けないと、問題外)。
プロになる、とはそういうことです。
音楽は技術では無くて、最終的には精神的なものですが、プロは、下手ではいけません。
まず楽器を自在に操る技術を身につけた、「職人」にならなければいけないのです。
◆無窮動。弾き始めたが最後。
これは、比較的最近、聴いていただいたものですが、再び載せます。
この曲も、聴いていただいた方が早い。まず、ソロで。
ダウンロード MotoperpetuoSitkovetsky.mp3 (2933.7K)
同じですが、昔トスカニーニという巨匠が、手兵、NBC交響楽団用に、編曲したものです。
つまりオーケストラの第一バイオリン十数人が一斉にこの速いのが延々と続く曲を一糸乱れぬアンサンブルで弾きます。驚異的です。
ダウンロード MotoperpetuoNBC.mp3 (4383.4K)
大勢で一つの旋律を弾くわけですから、一人でもちょっとでも間違えたらすぐに分かる。
これだけ、明瞭に(録音が古いのはしかたないですね)聞こえるのは、
全員すごい名手で、かつ「合わせる」プロだ、ということです。
◆バイオリン協奏曲第二番第三楽章(リストのピアノ曲「ラ・カンパネラ」はここからテーマを借りています)
相変わらず、下手くそなフジ子・ヘミングのラ・カンパネラが売れているようなので、
私ももう一度、ダウンロード購入して聴きました。
結論。下手クソです。お金を取って、人に聴かせる技術をこの人は持っていない。
私の意見は微動だにしません。何を言ってきても無駄です。
演奏はさておき、リストはパガニーニの演奏を聴いて音楽家になろうと決心したので、
パガニーニをずっと尊敬していたのでしょう。
ラ・カンパネラは、パガニーニのバイオリン協奏曲第二番、第三楽章のテーマなのです。
そのパガニーニのバイオリン協奏曲第二番、第三楽章です。演奏時間は約8分。
ダウンロード VlconcertoNo2Rondo.mp3 (6879.4K)
技術(テクニック)が無ければ、プロにはなれない。
しかし、テクニックをひけらかすだけでは(この演奏者がそうだ、といっているのではありません。一般論です)、
聴衆は「感心」しても、「感動」はしない。というのが、音楽の難しいところです。
勿論、作曲も同じ事で、非常に複雑なオーケストレーションを施したり、
協奏曲ならば、ソロのパートを難しくすれば、名作になるというものではない。
例えば、これはバッハの「2つのバイオリンの為の協奏曲」第一楽章です。
ダウンロード BachDoppelConcerto.mp3 (3022.7K)
これは、これなりにちゃんと弾くのは大変ですけれど、先ほどのパガニーニの「超絶技巧のてんこ盛り」よりは易しい。
上手い子なら、小学校低学年で、弾くだけなら弾けてしまう。
でも、何というのかな、音楽的な深みというか、聴き手の(少なくとも私の)心を揺さぶるのは、バッハが優る。
それは明らかです。
音楽ってのは奥が深いものですね。
今日の知ったかぶりは、この辺で。それでは。
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