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JIROの独断的日記
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2007年03月17日(土) 「<イラク特措法>2年間延長を月内に閣議決定へ 政府」←延長するべきではないのです。

◆記事:<イラク特措法>2年間延長を月内に閣議決定へ 政府

政府は16日、イラク復興特別措置法の期限を2年間延長する改正案を月内に閣議決定する方針を与党安全保障プロジェクトチームに伝えた。

自民、公明両党の部会などで議論し、了承手続きに入る。

政府側はこれと併せ、1年ごとに延長してきた基本計画の期限について、今後は6カ月ごととすることも説明した。 (3月16日23時18分配信 毎日新聞)



◆コメント:イラク戦争は違法行為である。

アメリカがイラクに対して、武力攻撃を開始した、即ち「イラク戦争」を開始したのは2003年3月20日です。

当時、ブッシュ大統領が開戦の正当化事由として挙げたのは、

「イラクは大量破壊兵器を保有しており、これがテロリストの手に渡れば、明日にでもアメリカはテロリストの標的にされるかも知れない」


ということでした。

そもそも、これが理由になっていないのです。

結果的に大量破壊兵器は発見されなかったけれども、それは関係ない。

仮に、本当にイラクが大量破壊兵器を保有していたとしても、それが自動的にアメリカによるイラクに対する武力攻撃を正当化することは、ありません。

その根拠は、私は何度書いたか分かりませんが、最近では、

「防衛相発言、米が真意ただす=イラク戦争批判で」←馬鹿野郎。真意もへったくれもねえだろう。

に詳しく書いたので、お読み下さい。

私が云いたいのは、米国が同盟国だからといって、その違法行為を「正しい」と日本政府が公式に見解を表明するのは正しくない、ということです。

人殺しは犯罪ですね?

では、もしも、貴方の友人が故意に人を殺したとき、貴方は
「人殺しは犯罪だが、私の友人がやったことだから、違法ではない」

と、主張しますか?するならば、本当のアホですよ。


◆コメント:イラク復興支援特別措置法は違憲である。

これもまた、何度書いたか分かりませんが、また、書きます。

イラク復興支援特別措置法の全文は、

イラクにおける人道復興支援活動及び安全確保支援活動の実施に関する特別措置法

で読めます。

イラク復興支援特別措置法では、目的とする活動が大きく分けて二種類ある、と第三条第一号、第二号で、定められています。

「人道復興支援活動」と「安全確保支援活動」です。

「人道復興支援活動」は陸上自衛隊がサマワで行っていた活動です。

これも本当に必要だったのか分かりませんが、政府や大新聞は陸自の活動ばかりを、国民に強調していました。

サマワには、陸自はもう、いません。昨年撤収しました。

問題は、今も引き続き行われている、空自と海自による「安全確保支援活動」です。

「安全確保支援活動」とは、具体的には、空自の輸送機が武装した米兵や、多国籍軍の兵士、物資を輸送することです。

本当は何をしているのか、海自は相変わらず、インド洋で「ガソリンスタンド」をやっているのか。全く国民に説明が無いのです。

「任務遂行上、安全を確保するために発表できない」とか何とか言っています。

そんなに機密にこだわるなら、自衛官の私物パソコンから、情報が漏洩するのはどうしてでしょうねえ、

と嫌味の一つも言いたくなりますが、これは、余談です。


◆空自が行っている武器・弾薬の輸送は同盟国に対する後方支援=集団的自衛権の行使である。

日本政府が自衛隊をイラクに派遣することを閣議決定したのは、2003年12月9日です。

この日行われた、小泉首相(当時)の記者会見の記録が首相官邸のサイトに今でも残っています

最も大事なところを抜粋します。

【質問】 今回、武器弾薬の輸送は行われるんでしょうか。

【小泉総理】 武器弾薬の輸送は行いません。

【質問】 行わない。

【小泉総理】 行いません。

【質問】 それは、実施要項の中とかで担保されるんですか。

【小泉総理】 そうです。

【質問】 そういうことですか。

【小泉総理】 はい。復興支援活動であります。日本は戦争に行くのではありません。

自衛隊は復興人道支援活動に行くんです。

この質疑応答は、何の説明も要りませんよね?

この日本語は、小学生でも分かると思います。

首相は「自衛隊は武器・弾薬の輸送は行わない」と断言しました。

ところが、実際には、クウェートからイラク領内各地へ、米兵、多国籍軍の兵隊を輸送していると見られます。

少なくとも、一度は、はっきりと空自の自衛官が証言しています。

2004年4月8日、共同通信の記事です。
◆記事:武装米兵の輸送実施 C130、空幕長が認める

【クウェート8日共同】航空自衛隊トップの津曲義光航空幕僚長が空自部隊派遣先のクウェートを訪問。

8日に記者会見してC130輸送機によるクウェート、イラク間の米兵や連合軍関係者の輸送を実施していたことを初めて明らかにした。

イラク復興支援特別措置法に基づく空輸が始まって約1カ月。

空自は人道支援や連合軍の物資以外に、兵員輸送も手掛け、コアリション(連合軍)の一員としての立場を築いたことになる。

津曲空幕長は過去の輸送任務について「米兵や(連合軍の)軍属を運んだことはある」と答え、さらに「武器、弾薬を単独で運んだことはない」と説明。

輸送した米兵が小銃など軽火器類を携行していたことも認めた。

これまでの輸送回数や状況については「20回弱の任務を実施したが、

(地上からの)攻撃はなかった」と述べ、武装勢力によるテロはなく安全だったことを強調。

タリルやバスラの空港があるイラク南部は「比較的安全」との認識を示した。

(共同通信)[4月8日13時26分更新]

「武装した兵員」を輸送している、と行っています。首相記者会見のわずか四か月後、早くもウソがばれました。

米軍の武器・弾薬を輸送することは、戦闘状態にある同盟国の後方支援であり、

集団的自衛権(集団的自衛権の意味は私の日記の中で何十回も説明しています)の行使を禁じている日本国憲法に違反しています。

イラク復興支援特別措置法が成立したのは2003年7月26日未明でした。強行採決だったのです。


◆「戦闘地域」「非戦闘地域」

「テロ特措法」というのは、その前からありました。

911テロの後アメリカがアフガニスタンに潜むテロリスト掃討作戦を行うので、海自の艦船を派遣して、燃料や物資などを援助するためです。

このときは、戦闘が行われている地域に自衛隊が直接赴く訳ではないのに、

それでも国会では集団的自衛権の行使ではないか、と大議論となったのですが、

大騒ぎの末、やはり最後や与党による強行採決で決められてしまいました。


イラク復興支援特別措置法は、もっと深刻です。何しろ、実際に弾が飛び交っているところに日本の自衛隊が出ていったことは無かったのですから。

それを誤魔化すため、イラク復興支援特別措置法は、自衛隊が活動するのは「非戦闘地域」に限る、としています。

イラク復興支援特別措置法の非戦闘地域の定義は、読んで頂けば分かりますが、

「現に戦闘行為(国際的な武力紛争の一環として行われる人を殺傷し又は物を破壊する行為をいう。以下同じ。)が行われておらず、かつ、そこで実施される活動の期間を通じて戦闘行為が行われることがないと認められる次に掲げる地域」

だそうです。

サマワの陸自ですら、ロケット弾や迫撃砲が撃ち込まれたことがある。一回や二回ではありません。

ところが、防衛省(当時防衛庁)の説明は驚くべきものでした。その趣旨は
「戦闘行為」とは「国家間の武力の応酬」である。テロリストは国家ではない。

従って、サマワの自衛隊がテロリストに攻撃され、万が一反撃の為に自衛隊が戦後60年、初めて海外で武力を用いることになっても、それは「戦闘行為」ではない。

弾が飛び交っても、「戦闘地域」ではない。

というのです。こう言うのを「詭弁(きべん)」といいます。意味が分からない人は辞書を引いてください。

なお、国会で、民主党の岡田代表(当時)が小泉首相に対して、「イラク復興支援特別措置法で定める『非戦闘地域』の定義を言って下さい」と答弁を求めた時に、小泉元首相は、
「自衛隊が活動するところが『非戦闘地域』だ」

と答え、さすがに、皆、呆気にとられました。

私は、小泉政権支持率を新聞で見るたびに、「どうしてこういう人を支持する日本人がいるのか」、

不思議でなりませんでした。


◆宮嶋カメラマンの証言

しばしば、「週刊文春」に「不肖宮嶋」として登場するフリーカメラマン、宮嶋茂樹氏へのインタビューが、

2005年9月1日付の毎日新聞に載っています。この時点で、宮嶋氏はイラク戦争開始後、4回もイラク入りして、現地の様子を最も良く知っている日本人です。

彼は、はっきりと述べています。

Q:サマワは非戦闘地域ですか?

A:「戦闘地域ですよ。イラク全土が戦闘地域。日本の首相だけですよ、非戦闘地域だなんて言っているのは。

その状況は今も変わっていないと思われます。むしろ悪化している。


◆最近のイラク国内のテロ

空自は、クウェートからバグダッドに物資を輸送しています(バグダッドだけではありませんが)。

そのバグダッドの治安はどうなのでしょう。

最近のイラク国内情勢に関するニュース見出しを見ると、テロのあまりの多さに愕然とします。


  • 爆弾テロ88人死亡 掃討作戦の開始後最悪 バグダッド-2月13日15時27分配信 産経新聞

  • バグダッドで連続爆発、60人死亡-2月19日7時32分配信 ロイター

  • バグダッドの自爆攻撃で40人死亡-2月26日7時48分配信 ロイター

  • 爆弾テロで子供18人死亡 イラク-2月28日8時1分配信 産経新聞
  • <イラク>バグダッド中心部で自爆テロ、26人死亡-3月5日21時13分配信 毎日新聞

  • イラク 自爆テロ90人死亡 シーア派巡礼者を標的-3月7日8時0分配信 産経新聞

  • <自爆テロ>30人が死亡、25人負傷 イラク・バグダッド-3月8日10時3分配信 毎日新聞

  • <イラク>自爆テロで20人死亡48人負傷 バグダッド東部、サドルシティー-3月11日3時0分配信 毎日新聞


皆さんはこれでも、バグダッドを「非戦闘地域」だと見なしますか?


◆結論:どう考えてもイラク復興支援特別措置法を延長するべきではない。

まとめます。


  • イラク戦争は国際法(国連憲章)に照らし、違法行為である。

  • 同盟国といえども、アメリカの違法行為を日本は支持するべきではない。

  • アメリカを支援するために作られたイラク復興支援特別措置法は違憲である。

  • イラク復興支援特別措置法の「非戦闘地域」もないがしろにされている。


以上に鑑み、私は、イラク復興支援特別措置法を延長するべきではない、と思料します。



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