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2007年03月12日(月) |
「東証、日興コーデの上場を維持」←有価証券報告書虚偽記載企業を上場廃止にしない株式市場の「信頼性」 |
◆記事:東証・大証・名証、日興コーデの上場を維持
東京証券取引所は12日、不正会計問題に関して監理ポストに割り当てられていた日興コーディアルグループの株式について、
上場維持を決め、13日に監理ポストの割り当てを解除すると発表した。
上場廃止基準のひとつである「有価証券報告書などに虚偽記載を行い、
かつ影響が重大だと取引所が認めるケース」に該当しないと確認したため。
大阪証券取引所と名古屋証券取引所も同日、日興コーデ株の上場維持を発表した。
3取引所は併せて、12日付で日興コーデに対して注意勧告を実施。過年度の決算短信を訂正した件については、
適時開示の体制で改善の必要性が高いと認められるとして、26日までに改善報告書の提出を求めている。
日興コーデは、2006年12月18日に過去の決算で利益を水増しする不正会計があったと発表。
東証などは同日、日興コーデ株を上場廃止の可能性を投資家に周知する監理ポストへ割り当てた。〔日経〕(18:17)
◆資料:2005年2月7日衆議院予算委員会会議録より抜粋
以下、昨年2月7日衆議院予算委員会会議録の抜粋。(岩國哲人議員と伊藤金融相(当時)との質疑応答
【引用開始】
○岩國委員 総務大臣、厚生大臣、お忙しいでしょうから、どうぞお引き取りいただいて結構でございます。
次に、西武鉄道の株式の問題について質問させていただきます。
西武鉄道の株式取引について、違反状態で長年取引が継続されておったということは大変残念なことであります。
こうした点について、金融庁としては、いつから違反状態が発生し、
その結果として不測な損害をこうむった投資家は、投資金額はどれぐらいなのか、
徹底的にこれは調査すべきじゃありませんか。
きょうも、この瞬間も、違反状態にある株式が東京証券取引所で取引されているんじゃありませんか。
そういう疑惑の中で、取引所の中で取引されているものには違反状態にあるものはないんだという潔白宣言がいつできるのか。
どうぞお答えください。
○伊藤国務大臣 委員が御指摘をされた事例も含めまして、昨年の秋以来、不適切な事例が続いております。
私どもといたしましては、証券市場の信頼性を確保するためには、
適切なディスクロージャーが極めて重要であると考えておりまして、こうした観点から、
国民のディスクロージャー制度に対する信頼を確保していくために、その対応策を昨年の十一月、
そして十二月に公表をさせていただいたところでございます。
その中の対応策の一つ一つを強力に進めていくことが重要だというふうに考えておりまして、
今、その違反状況を是正していくことが重要だというお話がございました。この対応策の中でも、
開示企業すべてに対して、有価証券報告書の正確性、これを自主的に点検をしていただきたい、
その要請をさせていただいて、すべての開示企業から報告をいただいたところでございます。
その報告の内容を私どもとして精査をして、
そして適切なディスクロージャーをさらに進めていくための対応策というものを
さらに進めていきたいと考えているところでございます。
○岩國委員 私がお伺いしているのは、潔白宣言がいつまでにできるというめどは全くないのかどうかということ。
もう一度お答えください。
○伊藤国務大臣 今、答弁をさせていただきましたように、昨年の十一月、そして十二月に公表させていただいたこの対応策、
その一つ一つを強力に推進していくことが重要だというふうに考えております。
先ほど来お話をさせていただいているように、まず開示企業の自主的な点検、
これを要請させていただいたところでございますし、
また、各取引所においても、その上場のあり方について、
これを見直していただくことを要請させていただいて、
その要請を踏まえて見直しについて実施をされているところでございます。
そうしたさまざまな施策というものを展開しながら、委員から見ても、そして投資家から見ても、
日本の証券市場の信頼性というものは間違いないものである、
そういうふうに信頼性というものを確保できるために、
私どもとしても一生懸命努力を続けてまいりたいと考えております。
○岩國委員 私の質問に二度も答えていただけなかったということは、
要するに、潔白宣言はきょう現在も出せないし、
しばらくの間、疑惑の、違反株式の取引はきょうもあしたも続けられるということですね。
【引用終わり】
◆コメント:有価証券報告書の虚偽記載は、犯罪である。
株式市場などのルールを定めている中心となる法律は証券取引法(証取法)です。
証取法によれば、証券取引所に株式を上場している会社は、
毎事業年度、内閣総理大臣宛に、財務状況などを詳しく説明した書類を提出しなければなりません。
商法や会計学ではこれを決算書といいます。
証券取引法では、これを「有価証券報告書」というわけです(細かく言うと、若干違うけれど、本質ではないので説明を省きます)。
証券取引法は、証券会社は、一般の人々(投資家)と証券市場の取り次ぎを行う会社なので、
潰れては大変なので、特に財務の健全性を求めています。
一般の会社であれ、証券会社であれ、有価証券報告書の「虚偽表示」は、犯罪です。
証券取引法第百九十七条には、
十年以下の懲役若しくは千万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。
と定められています。
「有価証券報告書に虚偽表示をしていた証券会社、日興コーディアルが上場廃止にならない」
との結論を出した東京証券取引所、それに異を唱えない金融担当相は気は確かなのでしょうか?
◆岩國議員は2年前から警鐘を鳴らしていた。
ここ数年、東証一部という、本来日本で最も信頼性が高い筈の株式市場で、西武鉄道、カネボウの粉飾決算が問題になりました。
西武鉄道はなんと、何十年にもわたって、本当ならば上場できない株式を東証に流通させていました。
上に引用した国会議事録は、その後、まだ西武の上場廃止が決まる前ですが、民主党の岩國哲人議員と、当時の伊藤金融担当相との質疑応答です。
過去に何度も書きましたが、岩國議員は世界最大の証券会社、メリルリンチ米国本社の上級副社長をしていたひとです。マーケットに関してはプロ中のプロです。
衆参全ての国会議員の中で最も金融・証券に精通した人であることは間違いない。
そのプロ中のプロが、「東京マーケットの株がこのようなずさんな管理でいいのか?」と、問い質していたのです。2年前から。
質疑応答を読んで下さい。
「他に、本来、上場すべきではない(基準を満たしていない)株が違法に流通(売買)されていないか」
と質問したのに対して、金融相は、
「全ての上場企業に有価証券報告書の点検を依頼している」
と答えたのです。西武やこの質疑応答の2か月後に粉飾が発覚したカネボウは、「故意に」粉飾決算を行っていたのです。
「実は、嘘の報告書を提出していました」
と馬鹿正直に答えるわけがない。それでも金融庁は「点検しました」と答えた訳です。
こういうのを官僚的形式主義といいます。
◆西武鉄道、カネボウ、ライブドアは上場廃止になり、日興コーディアルの上場を維持するのは、正しくない。
西武鉄道の粉飾が発覚したのが、2004年秋、カネボウの粉飾が発覚したのが、2005年3月。
そして、昨年はこれは東証一部ではなくて、東証マザーズというベンチャー企業の株を扱う市場ですが、
ここに上場していたライブドアが、やはり粉飾決算がバレて、上場廃止になりました。
或る株式が上場廃止になるということは、証券取引所で売買出来なくなることを意味します。
しばしば「紙屑同然になる」という表現が使われますが、まさにそのとおり。
その会社の株を買っていた人は大損します。
だから、日興コーディアルの場合「だけ」をみると、紙屑にならずに済んだわけです。
しかし、証券会社は客に「この株は買い時ですよ」とかなんとかいって、
客に株を買ったり売ったりさせて、手数料収入で食っている会社です。
自分の決算書を偽っていた会社から、他の会社の株を薦められて、買う気になりますか?
こういういい加減なことをしていると、
いつか、世界の投資家から、
「日本企業は粉飾ばかりで、株がいつ紙屑になるか分かったものではない」
と見なされてしまいます。海外の投資家やヘッジファンドが大量に日本株を売ったら、すごいことになりますね。
東証が大暴落したら、間違いなく、ロンドン、ニューヨークも連れ安となり、世界同時株安。
世界中の投資家から恨まれますよ。
先週まで、マーケットは、日興コーディアルは当然上場廃止だろうと考えていました。
金融大臣も特に異を唱えていなかったのです。
今日の決定は、どこからか、圧力がかかったのは、間違いない。と思います。
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