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JIROの独断的日記
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2007年02月05日(月) 「バレエ:ローザンヌ国際コンクール 若手の登竜門、河野舞衣さん2位」←こういう事を大きく報じないから世の中暗くなる。

◆記事:バレエ:ローザンヌ国際コンクール 若手の登竜門、河野舞衣さん2位

【ジュネーブ澤田克己】プロを目指す若手ダンサーの登竜門として知られる「ローザンヌ国際バレエコンクール」が4日、スイス西部ローザンヌで行われた。

日本からは3人が決選に進み、埼玉県鴻巣市出身の河野舞衣さん(17)=独ミュンヘン・バレエ学校=が

12人のうち2位の成績でスカラシップ賞を受賞。観客賞も得た。静岡県浜松市出身の吉山シャール・ルイさん(17)=英ナショナル・バレエ学校=

もコンテンポラリー・ダンス賞を受賞した。過去、熊川哲也さんが金賞に輝いた同コンクールには今年、15〜18歳の168人が出場した。スカラシップ賞は6人。

河野さんは、2年前に続く再挑戦だった。

「(入賞は)信じられない。うれしい」と語った。【ローザンヌ共同】毎日新聞 2007年2月5日 東京夕刊


◆コメント:海外で活躍する日本人芸術家の功績が正しく評価されていない。

この段落を書くときに「功績」という言葉を使うのに躊躇した。意味が曖昧だからである。

「功績」とは、「西洋人に『日本人は、芸術を解する教養ある民族である』ことを認識させた功績」である。


実際に西洋人がそう言っている。

欧州の管弦楽団で活躍する日本人音楽家は、どんな政治家・外交官よりも、日本に貢献している(シュミット元ドイツ首相)をご参照頂きたい。

ここで勘違いして欲しくないのだが、ご本人たちはそんな「使命感」を抱いていないだろう。結果としての功績である。

つまり、海外で活動する日本人芸術家たちは、特に日本(人)を売り込もう、というような、下司な考えは毛頭無いのであり、

やりたい芸術を追究した結果、西洋人に評価された、と言うところが素晴らしいのである。

いずれにせよ、日本人の為に貢献してくださっていることに代わりはない。



ただ、残念ながらその意味が、日本で充分に理解されていない。

マスコミが書かないからだ(或いは、書いてもベタ記事程度の扱いにしてしまうからだ)。

私は音楽については、それを補うつもりで、以前から書いている。例えば、

ベルリン・フィル 第一コンサートマスターを23年間務めている日本人バイオリニストがいます。お薦めCDも。

更に、今では何とベルリンフィルの首席ビオラ奏者も日本人なのだ。

それは、「情熱大陸」(TBS系列)でベルリンフィル首席ヴィオラ、清水直子さん

に記した。


◆バレエの世界においても日本人はすごいですよ。

日本人は、やはり様々な分野で優秀だと思う。

日本舞踊とバレエを比べると、農耕民族と狩猟民族の違いが現れていることに気付く。

日本の踊りはジャンプしない(原則)。「すり足」である。

これは、多分田植えにも畑仕事にもジャンプを必要としないことと無縁ではない。

一方、バレエはジャンプだらけだ。

狩猟民族だから、獲物をおいかけるのには、跳んだりはねたりしなければならない。

それが踊りにも無意識的に反映されているのであろう。


その違いを乗り越えて、熊川哲也氏も、吉田都氏も天下の英国ロイヤルバレエのプリンシパル

(主役を演ずることが出来るダンサー)になったのだ。ものすごいことである。

二人とも当然、かつてローザンヌ・コンクールに出て、熊川氏は金賞を、吉田氏はスカラシップを受けている。



音楽なら、演奏者の見た目(肌の色)がどうであろうと、奏でる音楽が美しければ、評価される。これは分かる。

しかし、オペラやバレエの舞台に東洋人が立つというのは、本来西洋人が書いた、西洋人の物語を演じ、舞うのであるから、

本当は東洋人が混ざるのは不自然で、白人で統一した方が自然なのだ。


だからこそ、日本人がプリンシパル、というのはただごとではないのだ。

東洋人であっても、彼らの踊りが欲しい、とロイヤルバレエの西洋人は考えざるを得なかったのだ。

私もロンドンにいたときに、熊川、吉田両氏の舞台を何度も見た。

周囲の欧米人のダンサーに一歩も引けをとらないばかりか、踊りの上手さは素人目にも群を抜いていた。


訓練を積んだ人間の身体の動きの美しさ、とはこういうものか、と目を瞠り、

あまりの美しさに、初めてバレエを見たのにも関わらず、感動したのをありありと思い出す。

その境地に達するまでには、熊川氏、吉田氏ともに、私たちの想像を絶する研鑽を積んだことであろう。


今回、準優勝した河野舞衣さんの演技は見たことがないが、ローザンヌ・バレエコンクールの模様は毎年NHKが放送するので、

今回のコンクールも当然見ることが出来るだろう。

この番組はスイスのテレビ局が制作したのをNHKが買うのだが、フランス語のアナウンサーと、

ものすごく辛辣な批評をする元バレリーナのオバサンのコメントが付く(日本語に吹き替えてある)。

因みに、このオバサンですら熊川氏のときは、文句のつけようが無かったのだそうだ。


◆マスコミはこのような「いい話」を取り上げるべきだ。

ニュースを聞くと暗い話ばかりだが、現実には、このような「目出度い」話も沢山起きている。

以前も書いたことがあるが、我々はマスコミの報道によって、世の中暗いことばかりのように錯覚させられている、と言っていい。

唯一、「いい話」を伝えるのは米国大リーグでの日本人選手の活躍ぐらいだ。

芸術の分野では、毎月のように、コンクール入賞者が出ているが、前述のとおり、新聞の「ベタ記事」に載るのが関の山、というのが現状である。

勿論、コンクールが芸術の全てではないが、いくら何でも、一番影響力の大きいテレビがもう少し積極的に報ずるべきだ。


◆優れた芸術家を多く輩出することこそ、平和な「国際貢献」だ。

小泉前首相は自衛隊の海外派遣を「国際貢献」と称し、安倍晋三は憲法を改正し、それをさらに大々的に行いたいらしい。

しかしながら私は、憲法を改正して海外に「軍隊」を送り、アメリカの言いなりになって人殺しの手伝いをすることが「国際貢献」である、とは、到底思えない。


そうではなくて、今まで書いたような優れた音楽家、バレエダンサーその他日本人の芸術家が海外の舞台で美しい芸術を演奏し、踊り、彼の国の人々を感動に導き、幸せな時をもたらす。

日本を尊敬される国にしたいのならば、これこそ真の「国際貢献」と考えて、芸術家を大切にし、育成するべきである。

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