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2006年12月09日(土) |
モーツァルトとクレメンティ/クライバーのベートーベン4番 |
◆モーツァルトとクレメンティ
モーツァルトは勿論皆さんご存知でしょうが、クレメンティはどうですかね。
殆ど同じ頃に生まれた作曲家です。ただ、モーツァルトの生涯は1756年〜1791年。35年の短い一生でした。クレメンティは1752年〜1832年。
80歳まで生きてますね。当時としてはすごい長命です。
さて、子どもがピアノを習うといたします。
日本では最初にバイエル、ツェルニー。で次がやはりブルグミュラーでしょうかね。
その後ですが、先生によって違うのかな。しばしば、クレメンティのソナチネなんてのをやります。
その所為か、クレメンティなんて幼稚な作品と思っている人もいるでしょうが、生涯に100曲ぐらいピアノソナタやソナチネを書いています。
ソナチネってのは、ソナタの易しいもの、ということですね。これは、比較的初心者でも弾けるのですね。だから、ブルグミュラーの次に来る。
でも、クレメンティのソナチネって、そんなに幼稚じゃないと思います。
例えば、これ↓エンピツをお読みの方はいつも恐縮ですが、
ココログからお聴き下さい。
よくピアノのおさらい会で弾きますけど、ちゃんとしているでしょ?因みにこれは第一楽章で、本当は第三楽章まであるのです。
そしてクレメンティのソナタの難しいのになると相当本格的に難しいですよ。バカにしたものじゃない。
クレメンティとモーツァルトは同時代のピアノの名手としてライバルでして、1780年、ウィーンの宮廷で皇帝ヨーゼフ二世の前で、
モーツァルトと腕を競い合ったのです。それぐらいの人なのです。
このときだったか、暫くしてからだったか、モーツァルトはクレメンティを「無趣味で機械的」なんてけなしてます。
ところが・・・・。モーツァルト先生、クレメンティのソナチネから一部拝借してるんですね。偶然だという人がいますけど、そうかなあ。
モーツァルトの最後のオペラは「魔笛」(まてき)というのですが、このオペラの序曲、序奏部の後をちょっと聴いて下さい。
ココログ
いいですか?今のがモーツァルトです。次にクレメンティのソナチネの中から一曲、第一楽章を聴いていただきます。
ココログ
これ、偶然?
たしかに、モーツァルトはその後の曲の展開が全然違うのですけど。「ド・ド・ド・ド・ド・ド、レドシド」だけじゃないかというと、
そうじゃないのです。クレメンティのソナチネは5分ぐらいですから、ちょっと辛抱して最後まで聴いてみて下さい。
「ソ・ソ・ソ・ソ・ソ・ソ・ラソ♯ファソ」が出てくるんです。
勘違いなさるといけないので、書いておきますが、私はモーツァルトを「糾弾し」ているのではありません。
これぐらいの短い音型、主題にもなってませんね。強いて言えば動機(モチーフ)ですかね。
この時代は勿論著作権なんかありませんから、ちょいと拝借したんですね。多分。
モーツァルトもそういうことがあったんだ、面白いな、ということです。私が云いたいのは。
せっかくなので、「魔笛」序曲載せておきます。
お手数をおかけしますが、
ココログからお聴き下さい。
◆クライバーのぺートーベン4番、聴く気にならない方のために、一部収録。
数日前にベートーベンの7番のお薦めとして、カルロスクライバーを紹介しましたが、
そこでも書いたとおり、
クライバーは同じコンサートで、にベートーベンの4番も演奏してます。
そのCDもお薦めしましたが、
これは、知らない方は聴く気にならないかな?と。
でも、凄い名演なのですよ。だから、音をちょっとだけですが、アップしましたので、聴いてみて下さい。
まず、第一楽章で序奏部のアダージョから、アレグロになるところ。
音が大きいかも知れません。大きすぎたらボリュームを加減してください。後に載せたのも同様です。
エンピツをお読みの方はココログからお聴き下さい。
皆さんがどう感じるかは(いつも書いているとおり)勿論自由ですが、私はこの部分が大好きなのです。
それから、フィナーレ(第四楽章)が、すさまじい。
これです。
ココログ
名手揃いのバイエルン国立管弦楽団が必死になっているのが、見えるようです。
あまりにもテンポが速い。この楽章には、ファゴットとクラリネットの短いけど難しいので有名なソロがあります。
こういう箇所を強調するのは失礼なのですが、この演奏では、ファゴットが、途中で指が回らなくなって引っかかります。
ココログ
途中で指が間に合わなくなって、一瞬音がもつれています。
但し、それでもプロが凄いのは、そのミスを一瞬にして忘れて、気を取り直して、ソロの最後はきちんと音を出していることです。
素人でも、楽器の上手い人はいますが、それまで上手く弾いたり吹いたりしていたのに曲の途中で一カ所間違えると動揺して、
そこから、ガタガタ、メロメロになってしまう人が多いのです。ここがプロと違うところです。
プロは、勿論、本来間違えてはいけないのですが、人間ですから間違えることもある。
肝腎なのは、すぐにミスのことは忘れて(考えないようにして)できる限り早く平常心に戻り、演奏水準を保つことです。
私はこれを、プロの「復元力」と勝手に呼んでいます。
復原力を発揮できない人はプロにはなれません。
見事に復元したところが、CDに収録されているのは、ライブと言えども珍しいので、
バイエルンの首席ファゴットの方には失礼なのですが、使わせていただきました。
マニアックな話になってしまいました。それでは、この辺で。
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