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JIROの独断的日記
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2006年12月08日(金) 道路特定財源の一般財源化とは何か。

◆税金にも色々あります。

サラリーマンが給料から天引き(源泉徴収)されている所得税は、普通税といって、税金を納めた段階では、何に使われるか分かりません。


道路特定財源とは、文字通り「原則として道路整備に当てる為の財源」です。

それは、ガソリン税、自動車重量税などから構成されています。



「自動車重量税」というのは自動車を買ったとき、車検の時に収める税金です。クルマの重量で、たとえば、自家用車は1トンまで4400円/年です。

紛らわしいのですが、「自動車税」というのがあります。毎年5月末までに収めろと言ってくる、あれです。

これは用途を道路整備に限定していないので「普通税」で、「道路特定財源」ではありません。



また、道路特定財源は国の取り分(国税)と地方の取り分(地方税)とが入り組んでいるのでややこしいのです。

今、一番問題となっているのは「揮発油税」です。

これは、所謂「ガソリン税」のうち、国の取り分のことです。ガソリン税の地方の取り分は「地方道路税」といいます。



言い方を変えて説明します。

税法上の本来の用語法としては、、「揮発油税」(国税)と「地方道路税」(地方税)なのです。

これを併せて通称「ガソリン税」と言うわけです。



道路特定財源の規模はものすごい額です。

ちょっと古い数字ですが、2004年度予算の道路特定財源は5兆6571億円です。

そして、全体の約半分はガソリン税のうち国の取り分である「揮発油税」なのです。


◆揮発油税を「道路特定財源」にしたのは田中角栄です。

歴史的経緯を見ると、揮発油税は、元来「道路特定財源」ではなかったのです。これを特定財源にしたのは田中角栄です。



どうして、そういうことを考えたのか。

1950年代、日本はまだ貧しくて未舗装の道路が大部分だったのです(今では信じられないでしょうが)。

そのため、一般会計予算では足りなかったので、何とか他に財源を作ろうというので、

角栄が揮発油税を道路整備に充てるアイディアを思いついたのです。



これを、一般財源化するということは、ガソリン価格に含まれている税金を道路整備以外の目的、道路とは関係のない目的にも使うようにするということです。

何故なら、今は国道と都道府県道の舗装率は96パーセントにもなっていて、道路特定財源は余っているのに、不要な道路を作るのに使われているからです。

そんなことをするなら、たとえば、社会保障、つまり年金財源に回したらいいじゃないか、というのが一般財源化推進派の提案の一つです。



しかし、一般財源化に反対するひとも、当然います。

反対論が「正論」として持ち出すのは、「道路特定財源は、道路を造る為と称して収めさせた税金なのに、それを他の用途に使うのは、詐欺だ。

それぐらいなら、特定財源をやめて、ガソリンを安くしろ」という論理です。

それはそれで一応すじが通っています。

ですが、それは「建て前」です。本当は例によって族議員が反対した訳です。


◆「族議員」とは何か。

一般的に「族議員」は「ある特定分野の政策立案に影響力をもつ政治家の集合体」です。



道路族議員は、日本中の土建屋(道路工事業者)や自動車メーカーを後ろ盾とする人たちです。

道路族議員は、道路特定財源を温存して、本当は入らない道路までも建設するように国交省の役人に圧力をかける。

道路が造られたり補修されれば、道路工事業者に恩を売ることになります。

地元の業者は選挙のときに、間違いなくその「族議員」に票を投じるわけです。

また、表沙汰にならないけど、業者から御礼に「何でも買える紙」を貰っている人もいるでしょう。

口座を通さずに現金でこっそり受け渡しすれば、バレません。



また、道路の建設の段取りを組んだ中央官庁の役人は「天下り先」の確保ができます。

これが、政・財・官の「伝統的な」癒着構造です。



安倍首相は、つい先日まで、「2007年度、揮発油税の一般財源化をやる」といっていましたが、

やはり、古株の道路族議員にはナメられているようで、揮発油税の見直しは速くても2008年以降になってしまいました。



私は、族議員とか癒着構造などという文字を目にすると本当に嫌な気分になります。皆、自分のことしか考えていないからです。

今までにすでに道路特定財源は余っていて、旧本州四国連絡橋公団の債務の返済に流用していたのですが、その返済が今年度で終わるのです。

すると、2007年度は道路特定財源が約6000億円あまるのです。

一般財源化した方が良いと思います。

族議員と工事業者と国交省役人のために、無理に道を造る必要は無いでしょう(勿論、本当に必要な道路はつくるべきですが)。

6000億円余るのですよ。



道路とは全く関係がないけれど、交通事故や自殺で親を失って経済的に困っている子どもたちの為の「あしなが育英会」という組織があります。

これは、一般国民の善意の寄付でお金を集めています。自殺遺児たちが進学するのを応援するために、いくら必要だと思いますか?

育英会は年間約20億円の資金集めに必死なんですよ。20億円です。

道路特定財源は、もう一度書きますが、来年度約6000億円余るのですよ。



理屈のうえでは、道路を整備するためと称して集めた税金を他に使うとはけしからんというのは尤もです。

ですが、要らない道路を建設するぐらいなら、あしなが育英会に限らず、

本当に困っている人の為に使うのが、倫理的に正しいと、私は思います。

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