外国為替証拠金取引
JIROの独断的日記
DiaryINDEXpastwill


2006年06月29日(木) 岩城音楽教室

◆岩城音楽教室(光文社 知恵の森文庫)

今日はこの本からすこし。

夕べ、「N響アワー」の最後はチャイコフスキー「悲愴」の終楽章でした。できれば第3楽章を見せて欲しかった。

というのはですね。



岩城さんが生まれて初めてN響を指揮したときのメイン・プログラムがやはり「悲愴」でした。

岩城さんは、首の病気をするぐらい、かなり大振り(指揮の動作が大きいということ)でしたが、デビューのときは、すさまじかったそうです。

第3楽章は進むにつれてどんどん盛り上がっていくんです。これ、いいですよ。興奮します。

かなりのベテランでも大振りしますが、デビューの岩城さんは、3楽章の途中で右腕が動かなくなってしまった。



暴れすぎて、脱臼したのです。しかし、不思議なことに暫くしたら動くようになった。また動かなくなったというのを何度か繰り返した。

あとで医者に診てもらったら、どうやら脱臼した肩を意志の力で(そんなことあるんですね)自分ではめて、大暴れして、また外れてまたはめて、の繰り返しだったとか。



当時、岩城宏之さんは、山本直純さんにつれられて、小澤征爾さんらを輩出した斉藤秀雄氏のレッスンを受けていました。

斉藤理論は指揮の動作を分析して、いくつかのパターンに分類するのです。

「指揮においては合理的な動作しか許されない」という怖いセンセイなので、演奏会の翌日のレッスンでは、怒鳴られると覚悟してました。

ところが、斉藤先生は言いました。

「昨日、見たよ。あれはほかの弟子には絶対に許さないけど、君にだけは許す。君がああ演りたいのは分かる」


へえ。と思いました。斉藤先生というのは、もっと型を強制する人なのかと思っていたのです。


◆「岩城音楽教室」名言集

本は、これです。

Amazonだと1〜2週間かかると書いてあるけど、書店にあります(東京の大きめの書店の話ですが)。

◆「音楽は『分かる』『分からない』ではない。」

「人間として生まれた以上、クラシックを好きにならなければ教養が無い奴だ。などと言う人がいます。とんでもない話です。嫌いなら嫌いと胸を張って言える自由があってこそ、むしろ本当の音楽好きが増えるのではないでしょうか」


「音楽が分かる、分からないという云い方は間違っています。所詮、はじめは音楽なんて好きか嫌いかです」


◆子どもにピアノなど楽器を習わせているおかあさんへ。

「ほめ言葉を知らない人間は、人を思う方向へ動かすことができません。母親がこどものピアノをほめるのに、なにも、専門的な言葉を使う必要はありません。『なんだか今日のピアノの音は綺麗ね』とか『今日はとても楽しく聞こえるわ』とかそれでいいのです。そう聞こえることが音楽の本質なのですから。どうすれば上手く弾けるようになるかは、プロである教師が教えます。母親は直感に頼ったほめ方をすればいいのです」


◆カラヤンの逸話。

「カラヤンはいつでも、リハーサルで楽員に注意するときに、名指しで注意するようなことはしません。例えば、2番ホルンの音程がすこしおかしいとき、演奏を止めて、全く関係ない第一バイオリンの人達に、フレージングの説明などをする。そして、ミスをした本人の隣の一番ホルン奏者にウィンクするのです。同じところへ来て、まだ、2番ホルンの音程が直っていないと、演奏を止めて、また一番ホルン奏者にウィンクする。さすがに一番奏者が気が付いて2番に注意する。こうして、回りくどいけれども、決してある楽員に人前で恥をかかせないようにする、という気遣いをする人なのです」



「人真似こそ最高の勉強法です。学ぶは「真似ぶ」から来ています。ピアノを習っている子がいたら、なるべく多く名人の演奏を聴かせてやることです。子どもはその中から何となく自分の感性に合ったものをみつけ、まず真似てみる。それは大変良いことです。音楽は個性だから、といって、まだ右も左も分からない子どもに『好きなように弾いてごらん』と言うのは、間違いです。子どもにはまだそんな『個性』が出せる訳は無いのです。カラヤンですら、トスカニーニの真似から入りました。カラヤンは最近の若者は情けないといいます。どういう事かというと、カラヤンのリハーサルは絶対に公開しないのが決まりですが、カラヤンは、もし、それでもあらゆる手段を尽くして潜り込んでくる、指揮者志望の若者がいたら、見て見ぬふりをするつもりだというのです。カラヤンも若い頃、人の練習を強引に盗み見た時期があったそうです。それなのにこのごろの若い奴はちょっと障害があるとすぐ諦める。ガッツが足りないといって嘆くのです」


◆面白そうでしょ?

これは、1977年に書かれた本ですが、今も通用する普遍性を持ち、岩城さんの「音楽観」が一番良く分かる本だと思います。

文庫で600円ですから、読んでみては如何でしょう。


2005年06月29日(水) オーディオブックというもの。アイ文庫ってご存じですか?
2004年06月29日(火) 「多国籍軍参加きちんと説明 人道支援中心−石破氏」人道支援だけの多国籍軍などあり得ない。
2003年06月29日(日) 「地球温暖化を防ぐにはもはや手遅れである事を、諸々の兆候は示している」国連環境プログラム、1999年報告書

JIRO |HomePage

My追加