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2006年06月30日(金) |
「ウィニー開発・公開の元東大大学院助手に懲役1年求刑」←「形が無い財産」という概念が本当に理解できるかどうか、です。 |
◆記事:ウィニー開発・公開の元東大大学院助手に懲役1年求刑
ファイル交換ソフト「Winny(ウィニー)」を開発、インターネットで公開し、ゲームソフトなどの違法コピーを手助けしたとして、
著作権法違反(公衆送信権の侵害)ほう助罪に問われた元東京大大学院助手金子勇被告(35)に対する論告求刑公判が3日、京都地裁(氷室真裁判長)であった。
検察側は「著作権侵害に向けられた確定的犯意に基づく犯行で、被害は甚大」などとして、懲役1年を求刑した。弁護側が9月4日に最終弁論を行い、結審する。
論告で検察側は、金子被告が「インターネット社会では情報はタダで当たり前」などとネットの掲示板に書き込んでいたことを明らかにした上で、
「著作権侵害にウィニーが利用されることを意図して開発、公開したことは明白」と指摘した。 (読売新聞) - 7月3日20時22分更新
◆コメント:形が無い財産でも、盗んだら泥棒だ、というだけのことです。
これは、さほど難しい話ではないですね。
他人の家に入り込んでお金を盗んだら、窃盗罪ですよね。
美術品や、パソコンを盗んでも泥棒ですよね?これは子どもでも分かります。
盗みの対象物が有形物だからです。
昔は人間の財産と言えば、形がある物ばかりでした。
しかし、やがて、人間が頭で考え出したアイデア(特許)、デザイン(意匠)、精神的な創作物(音楽、文学、ソフトウェアプログラム)なども、市場を通して売買するようになりました。
自分の財産を自分が自由に支配できる権利を「私有財産権」と言います。私有財産権を認めるのが資本主義経済の大前提です。
本件の場合、財産が「目に見えないもの」なのですね。
私の学生の頃は「無体財産権」(これ、専門の先生に訊いたら「むていざいさんけん」と読むのが本当だそうです)と言いました。
こちらの方が分かりやすい。今は「知的財産権」といいます。
いずれにせよ、形があるものばかりではなく、音楽や、発明や、プログラムや、アイディアや、デザインが売買の対象になる、ということは、
資本主義の基礎、「私有財産」である。ということです。
逆の云い方をすれば「財産」とは、市場(マーケット)で売買の対象、つまり「商品」になるものです。
ある人は自分のアイデアや作った音楽、それを録音したCDなどを、市場を通じて売り、対価として、お金を受け取って生計を立てているわけです。
ですから、ある人が考えたり作ったりしたモノを、その人にお金を支払わずにコピーして、勝手に第三者同士が交換したら、最初に考えた人はお金が入らなくなり、困りますよね?
◆ファイル交換ソフトがすべて違法ではない、ということは分かります。
P2P、ファイル交換の全てが違法でないことは知っています。
しかし、現実には多くの人は、本当はお金を払ってCDを買わないと聞けない音楽や入手できないコンピューターソフトを、
お金を払わないで済ませるために、ファイル交換ソフトの一種であるWinnyを用いているわけですよね?
いろいろ、きれい事を言っても結局お金を払うのが勿体ないから、そうするのですよね? これはいけないのです。
◆私有財産権を認めないのは、一種の共産主義です。
これは、
「オレのものはオレのもの。他人のものもオレのもの」
という考え方です。
他人の財産と自分の財産を概念上区別できていないのです。
社会の構成員が互いに他の人の「私有財産権」を尊重しない社会は、資本主義社会ではありません。
変な云い方をすれば、一種の原始共産制です。マルクスレーニン主義という意味ではありません。
もっと原始共産主義的思想です。
◆結論:目に見えない「財」であっても、対価を支払うのが資本主義経済です。
他人の家に入ってお金を盗むのに比べると、パソコンを使い、ファイル交換ソフトを通じて、目に見えない「音声ファイル」や「ソフトウェア」を交換するのは、罪悪感を感じにくい。
それが、Winnyによる違法コピーが止まらない原因でしょう。
しかし、今までの説明でお分かりと思いますが、その行為は、他人の私有財産権を侵害している点において、泥棒と変らないのです。さらに、資本主義の根幹を否定しています。
だから、こういう事をしてはいけないのだ、と検察は言っているのです。
抽象的な思考ができるかどうかです。できないひとは、著作権侵害をなかなか「犯罪」として認識できません。
知能・思考力が試されています。
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