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JIROの独断的日記
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2005年06月29日(水) オーディオブックというもの。アイ文庫ってご存じですか?

◆プロによる日本語の朗読を聴くと、大変興味深い。

 

  日本語を朗読する専門家のなかで、もっとも、なじみが深いのは、NHKのニュースアナウンサーであろう。

 あれも、勿論、大変な仕事だ。

 我々は母国語である日本語を朗読することなど、極く、易しいことであると考えがちになるが、それは、とんでもない勘違いである。

 ウソだと思ったら、あなたの手元にある新聞のどの記事でもよい。 ほんの一節でよいから声に出して読み、録音して、自分で聴いてみると良い。

 プロのアナウンサーの発音、イントネーションが如何に明瞭で、訓練を要するものであるか、良く分かるだろう。そして、自分の音読が如何にモゴモゴしていて、何を言っているのかわかりにくいことに唖然とするであろう。


◆小説の朗読を聴いてみるともっと面白い。

 

 ニュースが悪いというわけではないが、文学作品は、どの言語においても、その表現力を最大に引き出す「言葉の芸術」である。

 勿論、黙読していても十分に面白いのだけれども、これを、音声の専門家、すなわち、俳優さんや声優さん達が如何に表現するかを聴くと、大変に興味深い。

 最近、偶然に発見した、アイ文庫というサイトを拝見、拝聴した。

 ご覧になれば分かるが、無料、有料のコンテンツがあり、今は、漱石の「草枕」の音読を無料で聴くことが出来る。

 勿論、一度に全部を音読したら、大変な時間になるので、毎日少しずつ配信している。

 私の好きな「坊っちゃん」などは既に無料の配信は終了しているが、とにかく、色々な媒体を用いて、CD通販もしているし、電子文庫パピレスにオーディオブックのコーナーがあるとは、知らなかったが、電子書店パピレス 検索:[発行]アイ文庫をご覧になれば分かるように、既にかなりのオーディオ・ブック(「音声本」とでも訳すのでしょうかね?)を買うことが出来る。

 勿論、プロの声優さんが朗読する、という付加価値が加わっているので、紙の本に比べたら割高だ。

「坊っちゃん」は11節に分けて売られていて、それぞれが、525円するから、全部買ったら、5700円以上する。しかし、面白い。


◆余談だが、ロンドンでは現代小説のオーディオブックを、普通に本屋で売っていたのです。

 ロンドンに駐在していたときに、現地の本屋に行って驚いたのは、あちらでは、文学作品を朗読したテープ(当時はまだテープでした)を、古典は勿論、現代のミステリー、サスペンスのたぐい(フリーマントル、ジェフリー・アーチャー、フレデリック・フォーサイス、パトリシア・コーンウェルなどなど)がどんどん売られているのだ。

 これは、別に「文盲」や「視覚障害者」の為ばかりではない。

 一応インテリ層の人間に確認した(イギリスは階級社会だ)のだが、「詩や小説を聴く」という習慣は、以前から定着しているのだそうだ。

 日本で思いつくのは、落語のテープ(もっと昔は落語のアナログレコード、LPというやつ)だ。これは、昔から沢山ある。ところが、どういう訳か、散文の文学作品をプロが朗読したものを聴くという習慣がない。

 どうして、この違いが出たのかは、考え出すと、一冊の本ぐらい書けそうだから、ここでは、止めておく。


◆自分の文章をプロに音読してもらったら・・・と想像して見る。

 

 さて、文豪の作品のが音読されているのを聴いて、ふと、考えた。

 恐れ多くて、今、そんなことを依頼する気はないのだが、一度でよいから、自分の書いた文章の中で、比較的出来が良いものを、プロの声優さんが音読してくださったら、どのように聞こえるだろう、と想像してしまった。

 因みに、アイ文庫さんでは、それなりのものをお支払いすれば相談に乗ってくださるようで、問い合わせフォームがある。

 いやー、でも、やっぱり、ちょっと、恥ずかしいな。

 それでも、将来的には、結構、役者さんの仕事として面白い分野になるのではないだろうか。

 面白いというか、他にも役者さんは大勢いるし、劇団はあまた存在しているが、失礼ながら、大抵、芝居などというのは儲からないから、とりあえず、経済的な基盤を確立する一手段となりうるのではないか、と考えたのだ。

 日本で、モノやサービスを売るのに成功するためには、「ブーム」を作ることだ。短期間で燃え尽きるかもし知れないが、少なくとも、「ブーム」の最中の日本人の熱狂はすごいから、かなりの収益を産むはずである。

 自分の文章ばかりではない。仲の良い友人の文章を、プロに朗読して貰ってCDにして、プレゼントしたら、結構喜ばれるのではないか。

 うーむ。ここまで書いて考えたのだが、これは、内容にもよるだろうね。

 あまりにもくだらん、下世話ばかり書いてあるブロッグを音読しても仕方があるまい。却って、相手が恥ずかしい思いをすることになりかねない。音読する役者さんなり声優さんもあんまり乗らんだろう。この辺が難しいところだね。商売としては。


◆とにかく、プロの朗読を聴いてみることをお奨めする。

 

 自分の文章のことは、とりあえず、置いておく。

 まずは、「草枕」を聴いてください。 感心しますよ。 なるほどねえ、と。

 朗読するとき、その役者さんが、何処で間をとるか、どのように抑揚をつけるか。流石プロだけのことはある。素人には思いつかない解釈があるものだ。と感動する。

 ところで、なぜ、私が、朗読に興味を持ったのか、自己分析してみてわかった。

 これは、かなり、音楽の演奏に似たところがあるのだ。

 音楽では、ご承知の通り、楽譜上で、音符の長さ(音価といいます)、音程、リズム、テンポ、音の強弱が、細かく作曲者によって指定されている(但し音色ははっきり指定出来ない)。それでもなお、同じ楽譜を弾いても、演奏家によって、驚くほど解釈の違いがある。

 小説の音読は、音声面での作者の指定は一切ないから、一層、俳優さん・声優さんの裁量に委ねられる。

 だから、本当は、クラシック音楽のCDのように、同じ「坊ちゃん」でも、色々な人が朗読したものが、手にはいるようになったら、かなり面白いと思う。

 そこまで望むのは現状、難しいけど、まあ一度、アイ文庫で「プロの朗読」を聴いてごらんになることをお奨めする。


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