夫と話をしていて、ひょんな事から「デパートの大食堂」の話で盛り上がった。
「そう言えば、デパートの大食堂って、もう無いんだろうなぁ。先に食券買ったりするの」と夫。「いやいや。高島屋はまだあるらしいよ。ローズダイニングって言ったような」と私。しかし今のデパートの大食堂は昭和のそれとは違っているのだろうなぁ……って言うのから夫と私が出した共通の見解。
デパートの大食堂の話のおかげで、亡くなった祖母の事を思い出した。それは祖母との思い出の中で、私と祖母だけの最も楽しかった思い出だ。
あれは私が小学校に入学する前の冬のこと。祖母が入学祝に入学式に着ていく服を買ってくれる事になった。その時、私ははじめて祖母と2人でデパートに出掛けた。行き先は梅田の阪急百貨店だったと思う。当時、大阪では子ども服なら阪急百貨店が1番品揃えが豊富だと言われていた。私はそこで入学式用に着る臙脂色の子ども用スーツを買ってもらった。プリーツスカートにジャケットがついていて、白いブラウスにはスーツと同じ色のリボンがついていた。ボタンは金色。母がいたら絶対に買ってもらえなかっただろうデザインで、私はとても満足した。
そしてお昼時。祖母は最上階にある大食堂に連れて行ってくれた。私はてっきり私に食べる物を選ばせてくれるのだとばかり思っていたのだけれど、祖母は私は何も聞かずに、ミックスジュースを2つとホットケーキを2つ注文した。もう、驚いたのなんのって。当時の私はホットケーキはオヤツに食べる物だと思っていた。もちろんミックスジュースも。なのでお昼ごはんにオヤツめいたものを2品も食べられるなんて、私にとっては大変な事だったのだ。「お母さんに怒られちゃうね」と言うと「今日は特別。おばあちゃんも一緒に食べるんだから、怒られないよ」と祖母はニコニコ笑っていた。あの時、祖母と食べたホットケーキは私が食べたホットケーキの中で最高に美味しいホットケーキだった。
当時、私は食の細い子どもで食べる事自体あまり好きではなかった。ずば抜けて身体が小さかったのだから当たり前と言えば当たり前の話だ。幼稚園のお弁当の時間はいつも泣いて、先生を困らせていた。お弁当箱にギッシリ詰まったオカズを見ただけで「こんなの食べられっこない」と絶望して泣いていたのだけど、その時はどんなに怒られてもその気持を上手く説明出来なかった。
でも、その日のお昼は祖母と2人でペロリとホットケーキを平らげた。今にして思えば。祖母は当時の私の気持ちを分かっていてくれたのかも知れない。祖母と2人きりでデパートに行ったのは後にも先にもその時だけだった。
夫にその話をしたら、夫も「おばあちゃんとの思い出」を話してくれた。私の祖母はすでに他界したけれど、夫の祖母はまだ元気に生きている。現在104歳。ちょっとご無沙汰しているので、今年は夫の祖母に会いに行きたいね……なんて事を話した。子ども時代の思い出話を書いてみたところで今日の日記はこれにてオシマイ。
本日のお弁当。味噌焼きおにぎり、タコウィンナー、鶏唐揚げ、ピーマンオカカ炒め、じゃがいものカレー風味、黒豆、ヨーグルト寒天ゼリー(別容器)。タコウィンナーは娘の作。タコの足はあらかじめスタッフが切り目を入れております。