娘は今、葡萄にハマっている。
娘が愛してやまないのは種なし葡萄のデラウェアって品種。ちなみに私は果物好きだが葡萄は特別好きでも嫌いでもない。たぶん、それはデラウェアを子供の頃から飽きるほど食べていたからだと思う。
私の住んでいる市のお隣の市はデラウェアの産地で、夏になると道端のあちこちに葡萄を売る屋台が立つ。なので、私の住んでいる地域では夏になるとちょっとした手土産や贈り物、あるいは自分ち用のオヤツにとデラウェアは最も馴染みのある夏の果物なのだ。私にとって特別珍しくもないデラウェアだが贈り物にすると喜ばれると知ったのは大人になってからのこと。私にとってデラウェアはそのくらい「どうでもいい果物」だった。
しかし娘がデラウェアにハマりだしてから、デラウェアに対すると捉え方が変わった。娘はまだ葡萄の皮を剥くことが出来ないので、娘が葡萄を食べる時は私がせっせと皮を剥くのだけれど、皮をむいた葡萄……透明なガラスの器に薄い緑色をした半透明の小さな粒を見た時「なんて綺麗なんだろう」と感心してしまった。
その綺麗な粒を娘は小さな指で一粒ずつつまんで大事そうに食べる。
ただの親馬鹿に過ぎないのは承知しているけれど、葡萄の粒の美しさとそれを食べる娘の愛らしさは、なんかこぅ……ものすごく貴重な光景のように思えてならない。
娘の葡萄好きがいつまで続くか分からないけれど、しばらくはこの光景を楽しませてもらおうと思う。娘は今日もおやつにデラウェアを一房ペロッっと平らげた。葡萄屋台の開店を今年ほど待ち焦がれたことはない。明日は八百屋にデラウェアを買いに行かねば……って事で、今日の日記はこれにてオシマイ。