ドタバタドタと、都心で仕事を片付け、 じゃ、サヨナラ!と帰路につく。
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旅路の友に、高瀬昌弘「東宝砧撮影所物語」。 これが大変に面白い。 同時に貴重な文献でもある。
何しろ、出版が東宝株式会社であるから、 膨大な資料が存分に活用され、これに 映画の黄金時代をみつづけてきた高瀬さんの生きた証言が加わっている。
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このところ、高倉健、三船敏郎、黒澤明、と研究をすすめ、 次はクレージーキャッツに着手する段である。
これとは別軸として、大瀧詠一さんの軌跡を追い続けている。 昨年12月に急逝されたことは、皮肉にも20年ぶりの邂逅となったのだが、 これがまた、知らないことの方が多すぎた。
久米宏氏曰く、「大瀧詠一さんの残された最大のものは、 大瀧詠一という研究テーマだったのではないか」。
その通りだと思う。 彼には、南方熊楠や宮沢賢治と同じマインドが流れている。
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こうして緒に就いた研究−マイブーム−の中間で思うことは、
戦後の一時代というのは、日本映画、さらにその後の昭和歌謡、 ポップス、そして推察するにこれに演劇、文学、絵画が加わって、 ひとつの文化的な波頭にあったのではないか、という仮説である。
それは、桃山文化だとか元禄文化、というように、 歴史の中で定義され、もっと分析されてもよいのではないか。
戦後の何もかも失い、最も平和を希求する人々が 表現者も鑑賞者も、ともに心を躍らせた。
直接的あるいは潜在的に何を表現し、何を伝えたかったのか、 もっとよく研究しなければいけない、と思う。
2010年02月18日(木) 胃で消化すべきものを腸で消化させよう 2008年02月18日(月) 桜の春を疑う 2006年02月18日(土) 2005年02月18日(金) 模倣と社会 2004年02月18日(水) 馬鹿でもないし迷走でもない恐怖
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