冬の寒さにくたびれきった身体へ、 最後の止めと言わんばかりの寒気が山の彼方から降りてくる。
でもそれは、日の出とともにあえなく退場する。 陽差しはもう、それだけの力を取り戻している。 寒さよ、だからもうあきらめて、こっちに来ないでくれという切実な思い。
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春の歌謡曲がラジオに流れ始める。 最近の春のヒットナンバーには、桜の花がよく登場する。
桜、それもぱっと満開しぱっと散るソメイヨシノのイメージに、 何かどろどろした情念や観念をトッピングしたものが多い。 ワンパターン気味の流通歌に自分の感性を左右されるのは嫌だなと思う。
それにしても桜は、それほど国民感情を喚起させるものがあるというのだろうか。
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日本人の感性に特別に桜、とりわけソメイヨシノを配置しようというのは、 私にはいささか作為的だと思う。国策的といってもよい。
自然の中に八百万の神を見出してきた私たちは、 もっと移ろいや多様性を内面に感じ取るセンスを備えている。
あと一月もすれば、その桜が満開する。 靖国神社やお堀端で花見に興じるのもよいが、 もうそろそろ、それが春の本質でないことに気付くべきだ。
2006年02月18日(土) 2005年02月18日(金) 模倣と社会 2004年02月18日(水) 馬鹿でもないし迷走でもない恐怖
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