浅間日記

2008年02月18日(月) 桜の春を疑う

冬の寒さにくたびれきった身体へ、
最後の止めと言わんばかりの寒気が山の彼方から降りてくる。

でもそれは、日の出とともにあえなく退場する。
陽差しはもう、それだけの力を取り戻している。
寒さよ、だからもうあきらめて、こっちに来ないでくれという切実な思い。



春の歌謡曲がラジオに流れ始める。
最近の春のヒットナンバーには、桜の花がよく登場する。

桜、それもぱっと満開しぱっと散るソメイヨシノのイメージに、
何かどろどろした情念や観念をトッピングしたものが多い。
ワンパターン気味の流通歌に自分の感性を左右されるのは嫌だなと思う。

それにしても桜は、それほど国民感情を喚起させるものがあるというのだろうか。



日本人の感性に特別に桜、とりわけソメイヨシノを配置しようというのは、
私にはいささか作為的だと思う。国策的といってもよい。

自然の中に八百万の神を見出してきた私たちは、
もっと移ろいや多様性を内面に感じ取るセンスを備えている。

あと一月もすれば、その桜が満開する。
靖国神社やお堀端で花見に興じるのもよいが、
もうそろそろ、それが春の本質でないことに気付くべきだ。

2006年02月18日(土) 
2005年02月18日(金) 模倣と社会
2004年02月18日(水) 馬鹿でもないし迷走でもない恐怖


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