2010年02月18日(木) |
胃で消化すべきものを腸で消化させよう |
宇宙航空研究開発機構と国立環境研究所などは16日、昨年1月に打ち上げた温室効果ガス観測技術衛星「いぶき」が観測したデータを、インターネットの専用サイトで18日から一般に提供すると発表した。 提供データは、地球全体の二酸化炭素(CO2)やメタンの濃度など。これまで地上から観測が行われて来なかったアフリカやオーストラリアなどの濃度分布も分かるようになった、というニュース。
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文部科学省が平成10年度から実施している科学技術振興調整費総合研究「炭素循環に関するグローバルマッピングとその高度化に関する国際共同研究」では、第1期(平成10年〜12年)の成果の一つとして、一次生産(生物による二酸化炭素吸収量)の全地球規模のマップの作成が完成した。
海・陸をあわせた生物の二酸化炭素年間吸収量は、化石燃料の燃焼により一年間に放出される炭素量の約20倍に達していると推定されており、正確な吸収量の把握は地球規模の気候変動予測において非常に重要になっている。
しかし、限られた地域や海域、植生ごとの一次生産についての研究はなされてきたものの、海と陸を統合し同一尺度で地球全体の一次生産の図を作った例はこれまでなかった。今回の結果により、海・陸両方について、毎月変化する気温、日射量、降水量などに呼応して、全球レベルで一次生産がどのように変化しているのかが初めて一目瞭然となったほか、「どの時期に地球上のどこが最も盛んに光合成を行っているのか?」「ある地域で森林伐採をすると、全球の一次生産にどの程度の影響を及ぼすのか?」といった疑問にもこたえられるようになった。
文部科学省では、今後、一次生産量データの精度を向上させるとともに、エルニーニョ・南方振動といった周期的な気候変動と一次生産がどのような関係をもっているのかを解析してゆく予定。という過去のニュース。
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一つ目の「いぶき」のニュースはつい最近、二つ目は10年前のものである。 ただし、二つ目の研究は現在もすすめられている。
この二つの研究成果を組み合わせると、つまり、排出と吸収が、共に −精度に違いがあれ−全球レベルで把握できるようになりました、 という理解でよいのかどうか。
よくわからない。
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よくわからないけれど、こう思う。
地球は極があり、赤道がある。さらに標高の異なる山脈や海洋がある。 大気は地球を取り巻いて集積したり拡散したりする。自転もすれば公転もする。 地球の条件は常に「変動」している。
件の研究成果によれば、地球上で行われるCO2の吸収固定は、ホットスポットのような場所があり、「どの時期に地球上のどこが最も盛んに光合成を行っているのか?」という視点で把握するのが正しい。
つまり、そうだとすると、「日本で排出された温暖化ガスは地球温暖化のリスクが5、南米コロンビアでは1」というように、排出される位置によってその影響の重みが違ってくるのではないか?
さらに、そうだとすると、ある特定の吸収源と発生源を機械的にバーターしてOKという今の排出権取引は、おそらく相当に原始的なものなのではないか?
?ばかりである。
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免罪符のような排出権取引は、当初から胡散臭さがぬぐえない。
自分の精神論からいえば、その場所で出したものはその場所で収拾をつけるのが健全なのじゃないかと思う。
それに、人間の頭で−私の知らない誰かの頭で−行われたおかしなつじつま合わせは、 それが一見どんなにスマートな数式に見えたとしても、破綻する。
人間が発明した金融でさえそうなのだから、自然の摂理はなおさらだ。 そして、破綻の影響はきっと、金融よりも致命的で回復困難だ。
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しょせんは「胃で消化すべきものを腸で消化させよう」というようなものだ、と理解するのはいささか乱暴か。
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