夜更け前から、雨が降っている。
穀雨にはまだ早い。
だからこれは、春ではないが、少なくとも冬の底は抜けたと告げる雨だろうと思う。
*
希望は存在する、絶望の真っ只中に。
地震、原発事故、経済の動乱と相俟って、今年の厳しい寒さは心身にこたえた。
けれども、そうだから、時代の絶望の真っ只中に産み落としたこの子どもは、間違いなく希望であると感じる。
誕生を祝福する明るい鐘は、もうどこかへいってしまって鳴り響かない。
でも、この静かな雨が、静かに、小さく、でも確かに希望の鼓動を打っている。なぜならば、私は嬉しくてしかたないからだ。
宝物のような小さな赤ん坊を抱いて、しみじみそう思う。
2011年02月07日(月) 2007年02月07日(水) 最後に誰が笑うのか 2006年02月07日(火) 話が通じない話
|