2010年10月02日(土) |
不可逆的な生命現象の進行 |
Yはもう二歳の誕生日もずいぶん過ぎたというのに、乳離れしない。 いやむしろ、執着は増すばかりである。
今日のちょっとした酒宴では、ひとつ年下のIちゃんがとっくに乳離れしたのに比べられて、複雑な表情をしていた。
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老いと同じように、成長もまた不可逆的な生命現象の進行なのである。
それは、何か安定した状態を否応なしに離れざるを得ない、生きているが故の試練と言える。
考えてみれば、母の暖かい胎内を離れ身二つになること、呼吸を始めること、乳を糧として求めること、そのうち歯などが生えてきて食物を摂取し本格的な消化活動が始まること、いずれも面倒な変化であり、生を継続するからには受け入れざるを得ない厳しい現実である。
成長というのは、考えようによっては、かように苦しい。 できることなら次のステージにいかずこのままでいたいと思うのは当然なのである。
つまり、乳離れしなければいけない子どもの執着は、日ごとに云うことをきかなくなる身体や頭脳を抱える老人の執着と同じなのである。
そうだから、そのような時はやさしく寄り添い、大丈夫、それは自然なことできっと受け入れることができる変化だと安心させるのが、本人には嬉しいのではないかと推察する。
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