浅間日記

2010年05月26日(水) 頭山

スガシカオの新しいアルバム。

頭にきて時計を壁になげつけたら、
裏返って91時91分と表示された、という状況の歌。

世界の時刻は、本当は91時91分なのだが、
それは隠されている事実なのだと彼は歌う。



「私達は真実の一部しか知らない」「裏側にはひどい事実が隠されている」
という不信の空気は、ネット社会で芽を出し、政治経済を俯瞰する時の姿勢として、いささかの市民権を得た。

その不信の空気ですら、市民が獲得したものではなく予め用意されていたもの、かもしれない。

世界は周到に計画実行されている。
きっちり計量され、温度とタイミングを管理されている。



隠してやがる 裏側全部 みんな疑わしい
本当のこと 誰もいわない 現在・現在・本当の時刻は
91:91 91:91

スガシカオは歌う。

本当は91時91分なんだろ?などと真顔で言えば、頭が狂ったかと思われる。
黒澤明の映画「生き物の記録」の中島喜一みたいな末路が待っている。

アーティストというのは、社会常識という正面玄関からは受け取れないものを、
メタファーという衣をまとい、人の心の裏口からそっと、届けることができる。



中島喜一、否、黒澤明の原水爆に対する妄想が、世界を危機から回避させたと言えないことはない。

肌で感じる不信やいかがわしさを表明するのは、無意味ではない。
法律も社会常識もへったくれもなく、遠慮なく「よくわからないがとにかく嫌だ」と、人が唖然とするまで言えばよい。

狂ったと思われる頭をどう活用するかが大切だ。

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