噛み逢わず、 擦れ違う刻は。
時に、 想いとは裏腹の動力源と為り。
相反する方向へと、 互いを、 導いて終い勝ちだけれど。
噛み逢わず、 擦れ違い続ける機を。
幾重にも、 幾重にも、 重ね行く事は。
或いは。
互いの視野や、 其の焦点を、 保ち続ける術なのだろうか。
背景も、 伏線も与えずに。
核心の、 其の鍵で在ろう単語だけ、 無造作に放つ。
此れ迄と、 何ら変わらぬ素振りの、 文の内に。
ふと、 応じられたのは。
きっと。
噛み逢わぬ機が、 築かれ続けた故だろう。
「今度横浜!」
唐突な、 あの子の文に。
「もしかして。」 「電話で話したい?」
「うん。」
ふと。
媒体を替えようとする想いが、 頭を擡げた。
「良く分かったね。」 「電話が良いって。」
「腐れ縁?」
「腐れ縁の儘は嫌だよ。」
「んで?」
「別れてちょうど一週間かな。」
「結婚するんじゃ無かったのかよ。」 「俺は別れて無いぞ。」
「そっか。」 「四十歳になる前に別れてね。」
「はいはい。」
何時もの様に。
相も変わらず、 機は、 噛み逢わず。
最後も、 軽口に為るのだけれど。
---------- References Jun.21 2007, 「縒り逢う様に在るのでしょうか」
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