其の流れは、 飽く迄、 一途に在り続ける物で。
変える事も、 逆らう事も、 遡る事も。
決して、 無いのだけれど。
なぞり、 振り返り、 想い起こし、 反芻し。
眼前に呼ぶ事だけは。
僅かに、 許されて居るのかも知れない。
其れ故に。
益には為らぬ様な、 其の想いが。
時折、 顔を出すのだろうか。
珍しく。
「旅行に行った。」 「夢で。」 「温泉行きたいな。」
あの子は、 想いを幻に投影し。
初めて。
「昔の住まいで。」 「一緒に暮らして居る夢を見たよ。」
「其の頃知り合ったからね。」 「小坊主ちゃんの家なんて。」 「場所すら知らないけれど。」
自身の脳裏に。
過去と、 今と、 混雑した想いが、 浮かぶ。
流れは、 戻る事など無いのだから。
「あの時からずっと大好きだよ。」
「ありがとう。」
今更、 想いを伝えた処で。
何の益も無いのだろうか。
あの子は。
「ずっと言えなくてごめんね。」 「愛してるよ。」 「今日は穏やかな日が過ごせました。」
其の過去が繋ぐ、 今日を。
そっと、 伝えてくれた。
---------- References Dec.08 2001, 「気になり始めているのですか」 Aug.15 2002, 「安堵しても良いのですか」 Jun.02 2011, 「過去の真が垣間見えますか」 Apr.20 2013, 「初めて繋がった日に為るのでしょうか」
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