人の歩みに、 或る一定の嵩が在って。
其の質量が、 等量だと言うならば。
高密度な歩みは。
其の分だけの長さを、 失うのだけれど。
少なくとも。
質と、 量と、 其の積が。
常に、 一定で在ろう筈も無い。
ならば。
唯。
命数が少なかったと、 言うのだろうか。
きっと。
きっと、 幾つもの想いを飲み込んで。
「どうして私なんだろうね。」
其れでも溢れ出る、 あの子の想いに。
大した応えを、 贈れぬ儘。
「嘘。」 「小坊主ちゃんで無くて良かったや。」 「小坊主ちゃんはまだまだやんなきゃいけないことがあるんだよ。」 「だから私が選ばれたのだ。」
あの子は紡ぐ。
確かに。
あの子の歩みは、 極めて濃厚だけれど。
「使い切っちゃった。」
そんな風に、 呟かされる程。
何かを得て来た訳では、 無いのに。
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