其の言葉は。
飽く迄、 限定された場でしか通用せぬ、 比喩に過ぎないから。
もしかしたら。
奇妙な言語にしか、 映らないかも知れないけれど。
物の形を象る事で。
古来から、 互いの意思を、 伝播させて来たのだから。
きっと。
理に適う、 形を基礎に据えた、 表現は。
其の意味を、 殆ど正確に伝えて了うだろう。
其れ故に。
そっと、 手に取った品を。
そっと、 籠へ入れたのに。
何故に。
声を大にして、 其の表現を放つのだ。
何時もの、 悪戯っぽい瞳を添えて。
「小坊主!」 「みょん買ってくの?」
店内に響く声で。
姫は、 そう言葉を発した。
俺の、 大切な場所と、 腸詰とは。
似て非なる物なのに。
姫にとっては。
同じ単語で表現の可能な、 単なる、 物体なのかも知れない。 |