其の総てを把握する事など、 極めて稀で。
多かれ、 少なかれ。
自身の手に与り知らぬ物事が在って、 当然なのだけれど。
其れでも。
其の核と為る鍵や、 其の概要を為す要素は。
せめて。
朧気にも、 此の手に欲しいと希う。
其れは。
気概と、 配慮を。
最大限に宿した、 想いだと。
十二分に、 理解出来たとしても。
真夜中。
「小坊主様」 「いきなりの連絡失礼します。」 「精神科医の・・・」
あの子の携帯を介して。
知らぬ名が、 あの子の昏睡と搬送とを、 告げて来る。
数日前。
「私。」 「薬物中毒らしいよ。」
片言で触れた、 其の、 あの子の言の葉が。
俺が気付くべき。
一つの、 鍵だったのかな。
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