一年半を経ても。
其の原因たる震源を、 未だに探り当てては居ないけれど。
想いに隙が在ったから。
其の時間が生じた事に、 間違いは無い。
好みでは無い。 触れる気すら無いと。
互いに言葉を発したのは、 一瞬前の事なのに。
想いに隙が在ったから。
何時の間にか、 其の渦に囚われたに違いない。
挑みかかって来た側から、 発せられた言葉。
「どうしてこういう事するの?」
只責任を転嫁する、 理不尽な言葉に。
何故必死に、 言い訳を考えるんだ。
さっき迄、 酒精に錯乱して居たのは、 寧ろ姫で。
俺の記憶には、 事の端から終いまで、 全て記録されて居ると言うのに。
瞳の光に魅入られて、 石化した。
為すが儘に惹き込まれ、 抗えなかった。
俺の想いの錯乱を、 察知して。
「どうしてこういう事するの?」
悪戯っぽい笑顔で、 悪魔の様に囁きながら。
姫は再び、 奥底に俺を導く。
俺の上に居る姫の姿は、 鮮明に映し出されるのに。
其の言葉への、 俺の答えは。
彼の日から一年半を経た今も、 未だ見付からないんだ。
---------- References Jan.26 2004, 「窺って居た好機なのでしょうか」 Jun.20 2002, 「償うふりが出来ますか」 |