定義は。
荒野に柵を築いて、 安堵を得る為の工夫だから。
侵入を許さぬ頑強な想いと、 漏出を許さぬ強靱な意志とを。
自身が、 持ち逢わせる限り。
其の境目など、 不要に他ならないのだ。
けれども。
強度や、 粘度の、 不足する時に限って。
環境に応じて、 境界線を描き換えては。
都合良い定義を、 欲して終う。
普段の、 軽口の応酬にすら、 気付けずに。
「愛とか恋とかってなんだっけ。」 「どっちにしろ私には儚くて遠い物か。」
あの子は。
言の葉を、 言の葉通りに咀嚼しようと、 彷徨った。
そうね。
自身で、 縁遠い定義を据えて了えば。
其れは、 縁遠く居続けるだけよね。
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