命日。
或る特定の日付を消し去る事は、 決して、 益ばかりの振る舞いとは、 想わぬけれど。
歩みの里程標として、 其の日を傍に置き続けられる事は。
恐らくは、 其の後に注がれた想いの充足度を、 反映する。
其れ故に。
暫く足の向かなかった其処へ、 其の日に、 出向こうと想う意思を。
少しだけ、 重く、 受け容れたいと希った。
けれども。
十年以上を経て。
「逢いに行っても良い?」
あの子が、 俺に初めて口にした、 其の刻。
「気を付けて行って来いよ。」 「其の代わりちゃんと帰って来なさいね。」
最低限の、 保険の条件を添えて。
ようやっと、 送り出したけれど。
「逢えないよ。」 「親戚が来てるんだって。」 「私を今も恨んでる。」
今も滞留し続ける、 強い想いに。
簡単に、 阻まれて了う。
そうだね。
飽く迄。
其れは、 想いを注がれた故の、 応答で。
澱み留まり続ける流れから、 抜け出せずに、 藻掻き続ける事の方が。
本当は、 自然な事なのかも知れないね。
---------- References Jul.21 2011, 「照らせる深さでしょうか」
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