其の宿命を、 端から、 背負わされて居るのだと。
本当は、 当に、 気付いて居るべき事なのだけれど。
其れが、 眼前に迫らない限り。
感覚として、 理解に至る事は無いから。
ふと、 忘れて終う。
自身より、 多くの歳月を重ねた対象へ、 想いを寄せた、 其の瞬間に。
背負った業は。
時を経れば経る程に、 次々と、 積み増されるのだ。
離れ始めた其の、 間隙を、 埋め合わせる為に。
注ぎたい場所への資源を、 喰われ。
其れが。
一家の流れに、 罅を産む。
「きついんだよ。」
姫は、 ぽつりと零し。
「此れ以上は動けないよ。」
俺は、 言葉に生らない声で、 返す。
体力。
老いは、 誰にでも訪れるけれど。
其処に至る迄の準備や、 想いの積み重ねを、 欠いた儘で。
進んで来た今では。
対処の術は、 無いのかも知れないね。
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