望むとも、 望まぬとも。
互いの背景には、 厳然と、 聳える壁が在り。
互いの想いを、 深く保とうとすれば、 する程に。
背後の壁は。
其の高さを、 増し行くのだろうか。
其れ故に。
自身の周囲に、 注ぎ込む筈の光が。
時に、 壁に遮られ。
時に、 互いの想いは。
徐々に、 徐々に、 光を失い行くのかも知れない。
何れ程、 想いを縒り逢わせても。
他者は他者で。
例え、 想いが通わずとも。
血は血。
避けられぬ血に、 嘗て、 光を奪われた姫と。
必死に、 縒り逢わせて来た想いが。
静かに、 静かに、 血に混ざり行く様にと。
唯、 唯、 希う。
「姫です。」 「母です。」
「初めまして。」
「初めまして。」
「ここの所、慌ただしくなってしまって。」 「姫さんにもご迷惑おかけしちゃったわね。」 「お腹、お加減はどう?」
此処迄、 遅れに遅れた、 対面の儀が。
ようやっと、 叶った。
やっと。
一歩、 進める。
---------- References Oct.28 2005, 「貧弱な大黒柱でしょうか」 Sep.13 2005, 「想い以外も縒り逢わせられますか」 Oct.25 2004, 「型枠の中には居ない人ですか」 |