其の、 想いの強さ故に。
時に人は。
他者の差配を、 総て簒奪しようとして、 想い誤り。
其の、 想いの強さ故に。
時に人は。
自身の差配をも、 総て委ね、 想い誤るのだけれど。
飽く迄、 個々で在り続けるには。
介在を許さぬ、 其の領域は、 失われては為らぬのだ。
其れ故に。
本来、 差配を及ばさぬ筈の、 範囲迄も。
差し出し、 握る行為は。
恐らくは。
剥き出しの刃を丸飲みする、 覚悟を強いる、 振る舞いなのだろう。
「小坊主が私を尊重してるのも知ってるけれど。」 「私は誰かに支配されるのも嫌だけれど。」
「うん。」
「遠距離の間か。」 「私が復活する間だけでも良いんだけれど。」
「分かった。」
あの子の、 きっと苦し紛れの言の葉を。
無条件で飲む。
「私をとことん束縛してみない?」 「自分が何やるか分かんない不安が漠然とあって。」 「止めたらより駄目って言われた方が。」 「今の私には良い気がする。」
自身の、 乱れ勝ちな感情を 御す為に。
あの子は、 自身の信念を捨て、 俺の理性を要に据えた。
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