真っ先に浮かんだ、 其の存在は。
果たして、 想いの近さ反映するのだろうか。
其れとも、 距離の近さを反映したのだろうか。
或いは、 機能的に重要な存在に過ぎないのか。
倒れる棚を、 歪む床を、 割れる窓を、 崩れる壁を、 目の当たりにしながら。
抗う事も、 逃れる事も出来ず、 揺れに蹂躙されるが儘の、 自身の脳裏が。
自身の命より先に、 愛しい、 別の命を想う。
其れは。
極自然な事かも知れないけれど。
娘では無く、 姫の命を、 第一に護りたいと。
俺は、 そう願ったのだろうか。
姫が無事なら、 娘も無事逃げたで在ろうと。
唯、 そう想っただけなのか。
連絡すら付かぬ儘で、 罅割れた道を急ぎ歩きながら。
真っ先に浮かんだ姫の意味を、 自問自答した。
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