言葉には。
個々の想いを反映する、 特有の、 符号が在って。
恐らくは。
自身の有り様が、 無意識に、 其処へ投影されて居る。
其れ故に。
想いを以て、 丁寧に、 丁寧に、 其の一文字一文字を辿れば。
或る程度は、 其の解を探り当てられる筈なのだ。
けれども。
其の解に逢わせる適切な術を、 持たぬのなら。
其の解に至ったのか、 否か。
其処に、 違いは生じない。
「あのホテルってどこでしょう。」
「今日泊まりなの?」
「知らないおじさんに『ついてきて』って言われたんですけれど。」 「分からないので逃げて来ちゃいました。」
唐突に、 隧道の向こうから届いた文。
其処に刻まれた、 見覚えの在る符号に惑う。
一つ前の雄と、 諍いを起こした翌晩も、 同じ様に。
応じる術を、 見付けてあげられなかったね。
---------- References Sep.12 2009, 「触れても良い距離なのでしょうか」
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