其の総てを知る事が是だとは、 想わぬけれど。
絆や想いを断つ事に成った、 其の一要因が、 如何にして互いを喰い荒らしたのか。
切に、 切に、 知りたいと希う。
決して口を開かぬ姫に、 望めぬ想いなら。
半ば腫れ物に触る様に。
少しずつ 少しずつ 進むしか無いのだろうか。
「ぱぱ!」 「これがうみ?」
「あれはなに?」 「えのしま?」
「いはい?」 「これがおじいちゃん?」
普段の、 足元に隠れ恐れ戦く其の姿が、 影を潜め。
遠出、 気候、 家屋、 祖父、 外泊、 砂浜、 数多の初めての中でも。
平然と、 物怖じする事無く遊び回る娘に。
若干、 面食らいながら。
此の場に融和する事を願う、 其の存在へ。
ふと、 視線を向ける。
矢張り姫は。
俺の育った此の街や、 俺の育った此の家も、 好きに成れそうには無いのかな。
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