確かに。
眼前に在った優先事項へ、 互いの意識を注いで居ただけで。
互いの記憶が埋もれた訳では、 無いからこそ。
其の片言に応じ、 全てを理解する事が出来たのかも知れない。
けれども。
一方で。
習慣化が誘導した意識低下は、 其の日を、 日々の喧噪へ埋めて。
想いを、 奪い始めて居る。
「はい。」 「これ。」
一週遅れで、 食卓へ乗せた葡萄酒へ。
「何?」 「どうしたの?」
「三年だから。」
「ああ!」
姫は、 待ちかねて居たかの様に。
案外、 素早く反応した。
そっか。
忘れて居たのは俺だけか。
---------- References Dec.07 2007, 「想いに理由は不要でしょうか」
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