表層に浮き出て、 外界から、 認識出来る領域など。
僅かだから。
自身の想いを以て、 其の表出せぬ大部分を補い。
必死に、 全容を探り盗るのだけれど。
其れでも。
把握可能な範囲など、 多寡が知れて居る。
其れ故に。
飽く迄、 絶対的な基準を創り上げて。
極僅かな相対値に、 惑う事無く、 在ろうとするのでは無いのか。
「奥さんが居て。」 「お子さんが居て。」 「心を寄せあえる人が居て。」 「良いなぁ。」
雪深き街の人は、 そう、 言ったけれど。
「良いなぁ。」
「良いのか?」 「本当に良いのか?」
「うーん・・・。」
応じた俺の言葉に、 其の、 善悪が揺れ動いた。
其れが、 答えに他ならない。
白も、 黒も。
表も、 裏も。
善も、 悪も。
其処には、 双方が在るのにね。
魅せないだけで。
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