手元に欲するのは、 日常なのだ。
互いの、 手の届かぬ領域に在る、 其の刻なのだ。
其れ故に。
身に纏い身に付ける、 何らかの形を、 贈り逢い。
肌身離さぬ、 携帯や、 鍵束へ。
其の形を、 添えるのでは無いのだろうか。
其れとも。
互いを貪る、 其の特別な一瞬の、 近似値として。
非日常的な其の刻を、 欲したのか。
想い返す術として。
「自転車に乗っている小坊主の画像。」 「欲しいな。」
坂の街の人は。
普段とは懸け離れた其の画を、 欲した。
普段を。
其の日其の日の、 お互いを。
欲して居る筈なのにね。
---------- References Jul.15 2007, 「不要な証なのでしょうか」
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