其の甘味は。
快楽を揺り動かす物質の、 偽薬として。
自身をも、 酔わせて終うから。
其の主眼が。
時に、 副次的な理由に入れ替わったとしても。
然程、 不思議では無いのだけれど。
例え、 一瞬でも。
想いを濃縮し、 僅か一片に宿る熱量に、 封じて贈る。
其の、 凝縮された想いが、 在るのなら。
甘美な香味は。
十二分に。
人を酔わせる事が、 出来るのだ。
「一日早いんだけれど。」 「良い?」
「ありがと。」 「甘い物食べたくなったんでしょ?」
「分かった?」
姫の、 食欲を満たす為の、 贈り物でも。
「去年高かったのに喜ばなかったから。」 「今年は安いやつだよ。」
「はいはい。」 「何れ食べるの?」
例え、 価値の劣る贈り物でも。
其処に、 想い遣る言葉が在るだけで。
---------- References Feb.14 2006, 「味覚が狂っただけでしょうか」
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